私にとって鳥の巣は5月の中国国際オープン陸上大会以来2回目でしたが、あの時とはオリンピック公園全体の様子が大きく違っていました。
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鳥の巣の地下鉄の駅 | まず地下鉄の駅が出来ていてデザインが非常に美しく、中国のイメージではありませんでした。そして、地上に上がってみると、協賛メーカーのパビリオンあり、中国各地方の紹介用のテントあり、ディズニーランドのようなパレードもあり、鳥の巣周辺の様子がお祭り広場のようでした。私も競技場の外でスウエーデンの応援団を見つけて、期待の男子走り高跳びのステファン・ホルム選手の調子を聞いたりして、「今日は絶対優勝さ。」とか気合が入っていて、競技場に入る前から一緒に盛り上がりました。
今回は中国教育政策の専門家の吉村澄代さんと一緒の観戦で3階席でした。3階への階段は長く急で、息が切れましたが、席に座ると一気にオリンピック独特の競技場の雰囲気を味わうことが出来ました。3階席からは屋根が近くて聖火の燃える様子は判らず、フィールドの空間が見えないため、鳥の巣全体が大きな室内競技場のような感じでした。私の周りにはリトアニア、イギリス、スウエーデン、ロシアなどのヨーロッパの方が多く座っていて、ここが中国北京であることを忘れてしまいそうです。
今日のメイン種目は男子走り高跳びや男子1500m。女子100mハードルなどの決勝種目に加え、日本選手の出場する女子5000m予選、100mで世界記録を更新して優勝したボルト選手の出場する200m準決勝もありました。前日の劉翔選手の棄権欠場は中国国民をがっかりさせましたが、オリンピック種目の中での陸上競技の魅力は大きく、スタンドは世界各国から集まった人で満員でした。
午後7時から競技が始まり、走り高跳びの一跳一跳にスタンドから大きな拍手があがり、選手たちの気持ちも一気に盛り上がっているように見えます。そんな中、女子5000mに日本の女子選手3人が出場し決勝進出を狙いましたが、あと一人で決勝進出を逃がし残念でした。小林選手、福士選手、赤羽選手とも積極的なレースを見せましたが、長距離種目でのアフリカの選手たちとの力の差を改めて感じました。
競技途中では前日の女子棒高跳びの表彰式が行われ、世界新記録で優勝したイシンバエワ選手が大きな目から大粒の涙を流しながら国歌を聴く姿に感動しました。ちょうどその時は男子走り高跳びでもロシアの選手が優勝し、場内はひと時ロシアタイムになりました。
フィールドでは円盤投げも始まり、エストニアの応援団が私達の前に座り応援を始めました。すると、女子400m決勝になり、後方の席ではイギリスの応援団が歓声を上げます「クリスティーン。カモーン!!」という声が聞こえ、レースはスタート。前半からリードするアメリカ選手をあと30mのところでジャマイカとイギリスの選手が追い上げ。最後にイギリスのクリスティーン選手が抜き去って優勝。「クリスティーン。カモーン」と大声で叫んだおばさんは自分の言ったとおりになって大喜びで、周囲の観客席から祝福の大拍手が起こりました。
すると今度は、後半に入った円盤投げでエストニアの選手が大逆転でトップに躍り出て優勝ました。私も前に座るエストニアの応援団に祝福の拍手。彼らも振り返って嬉しそうに笑いました。
競技の合間には吉村さんのお話も沢山聞かせていただき勉強になりました。吉村さんは最近「素顔の中国」という本も出版され、日本では中国の素顔の姿が十分報道されてなくて、理解されていないことを研究と実体験をもとに解説していただき、オリンピック観戦が2倍楽しめた夜でした。
【プロフィール】
1957年生まれ 早稲田大学教育学部卒 筑波大学体育研究科大学院修士課程修了 専門スポーツは陸上競技 早稲田大学本庄高等学院 教諭 早稲田大学スポーツ科学部講師 2008年4月ー2009年3月 早稲田大学から北京大学への交換研究員
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