中国の飛び込み代表は「ドリームチーム」とも称され、世界ナンバーワンの実力を誇っています。中国選手の各国際大会でのすばらしいパフォーマンスは世界中のスポーツファンを魅了しています。

　これまで中国からは、李芸花、周継紅、高敏、伏明霞、郭晶晶、熊倪、田亮、肖海亮、胡佳など数多くの世界チャンピオンが誕生してきました。中でも周継紅は中国が最初に生みだした五輪飛び込みの金メダリスト選手として、その名を歴史に刻んでいます。

　湖北省生まれの周継紅は1984年のロス五輪で、10メートル高飛び込みの金メダルを獲得しました。これは、中国最初の五輪飛び込みの金メダルです。その後、1990年からは、国家代表のコーチを務めました。そして、代表監督となってからは、国家代表を率いてシドニー五輪とアテネ五輪に出場し、合わせて11個の金メダルを中国にもたらしました。周継紅は選手として、中国の飛び込みを世界レベルに引き上げ、指導者として、中国を世界最強の『ドリームチーム』に育てたというわけです。今年、周継紅は3度目の五輪を前に「アテネを越える成績を狙う」と意気込みを力強く語っています。

　"飛び込みのプリンス"といわれるのは田亮です。その甘いマスクで女性ファンも多く、人気と実力を兼ね備えた選手といえるでしょう。様々な国際大会で活躍し、最強誇る中国ドリームチームのエースとして、活躍してきました。しかし2008年3月、29歳の田亮は引退を発表し、芸能界進出を決めました。現在、CMやドラマなどに活躍の場を移しています。なお、2007年11月、田亮は盛大な結婚式を行いました。お相手は中国で人気オーディション番組「超級女声」出身の葉一茜（イェ・イーチァン）です。飛び込み選手としては超一流の田亮。芸能界でも成功することができるのでしょうか。

　では、現役選手に目を移してみましょう。その田亮の引退後、誰が次代の中国男子のエースとなるのかが注目されています。現在、最も期待されているのは胡佳です。2004年のアテネ五輪で胡佳は男子10メートル高飛び込みのチャンピオンとなりましたが、田亮の影に隠れて、胡佳の名は世界ではまだまだ知られていません。今年の北京五輪は胡佳にとって自らの実力を世界に見せる大きなチャンスでもあります。果たして、「ポスト田亮」に名乗りを上げることができるでしょうか。

　注目選手として、忘れてはならないのは郭晶晶です。飛び込みについて、興味を持っている方なら誰もが知っている選手でしょう。現在、中国では"飛び込み女王"とも呼ばれています。1981年生まれの郭晶晶は、11歳で国家代表に選抜。2001年以降は、出場した国際大会でことごとく金メダルを獲得してきました。また五輪も、1996年のアトランタ五輪から3回連続して、出場しています。今年、27歳の郭晶晶が、中国の飛び込み史上最年長の代表選手として北京五輪に出場することはほぼ間違いないでしょう。本大会では、豊富な経験と完璧な技をもって、北京五輪のヒロインを狙います。なお、今年、彼女は中日青少年友好交流年の親善大使にも任命されました。北京五輪だけでなく、『中日交流の顔』としても、その活躍が期待されています。

　この他、まだ10代の林躍、火亮など有望な若手が次のエースの座を虎視眈々と狙っています。中国飛び込みの層の厚さの表れといえるでしょう。その『ドリームチーム』が目指すのは全種目制覇。飛び込み王国、中国の活躍に注目下さい。