無錫は悠久の歴史を持つ都市です。今も、梅村、恵山、蕩口、胡(土隶)など数多くの古い町が残っています。
栄巷は無錫の西の郊外にあり、面積は1平方キロメートルにもなりません。今も、栄巷には清の末期から中華民国の初期の建物が残っています。
栄巷は中国で有名な実業家栄宗敬さんと栄徳生さん兄弟のふるさとであり、栄毅仁もと国家副主席のふるさとでもあります。今まで、ここから、数多くの実業家が誕生してきました。
栄巷には長さ380メートルもある近代風の町と157ヶ所もの近代風の建物があります。これらの建物は、それぞれが特徴を持っているにもかかわらず、一つの共通点があります。それは、その持ち主のほとんどが栄という名字であることです。このように同じ名字の人たちが共に住み、共に裕福になることは、中国南部はもちろん、全国でも珍しいことです。
栄巷の旧い建物はこの100年間、大きな変化がありません。町の両側にある建物はほとんど昔のままです。栄巷の町には昔100近くの店舗があり、商業の中心になっていました。
教師を定年退職した栄躍祥さんは栄巷生まれで、栄巷育ちです。栄躍祥さんは今も栄巷に住み、ずっと栄巷の町の保護と発展に注目して来ました。栄躍祥さんは「全てお店でした。例えば床屋はこの町に3、4ヶ所ありました。ここは朝食の販売をしていたお店で、あそこは茶館でした。ここは豆腐屋で、あそこは薬局でした。とにかく、ここの全てがお店だったんですよ。」と昔の栄巷の様子を熱心に紹介してくれました。
しかし、かつて町にあった店は引越ししたり、転業したり、閉店したりして、経営を続けている所は少なくなりました。
昔のにぎやかさと比べて、今の栄巷はとても静かです。町には忙しく行き来する人々や車もないし、さまざまな商品も並んでいません。
栄巷の建物の持ち主のほとんどはほかのところに引越ししました。今、ここの多くの部屋は賃貸住宅になり、よその人に貸し出されています。部屋の管理や修理をする人がいないため、部屋の保存に悪い影響も与えています。
栄巷に住み、今年80歳になる瀋さんにはこの町について深い感慨があります。瀋さんは次のように話しています。「町はほとんど変わっていません。昔、この町は無錫で一番繁栄していたので、あちこちからこの町に買い物に来てくれました。でも、今はずっと静かになってしまいました。昔のにぎやかさが戻って欲しいです。近い内にお店を作って、またにぎやかにしてください。これが私の夢です。」
都市の建設が進む一方で、昔の町並みはうまく保存されました。栄巷が残っているのは奇跡だとも言えます。ここにある多くの古い建物は、歴史と文化、記憶と血のつながり、知恵の美しさを強く感じさせます。
(翻訳:殷絮)
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