CCTV・中国中央テレビの主催により行われている2006年度中国経済年度人物（パーソン・オブ・ザ・イヤー）の結果が、1月20日に発表されました。今年の審査では「責任、イノベーション、影響力、推進力」が基準となり、例年と比べて「責任」という項目がトップにリストアップされ、株主、従業員、社会、自然環境への責任と企業モラルが強調されているところが大きな特徴となっています。

　受賞者は証券、金融、ベンチャーキャピタル、小売、IT、航空、新エネルギー、家電など2006年に、最も活躍した産業と分野を網羅しています。これらの受賞者リストから、2006年の中国経済のホットな動向をうかがうことができます。

　受賞者メンバー（敬称略）は以下の通りです。

【パーソン・オブ・ザ・イヤー】

＊尚　福林　中国証券監督管理委員会主席

　3年前の2003年に現職に着任。中国の株式市場で「股権分置」改革（政府のコントロールが及ぶ非流通株を縮小するとともに、政府の企業経営に対する介入を避け、一般株主の利益を保護するという改革）の推進者。

＊李　家祥　中国国際航空株式有限公司董事長

　2006年、スターアライアンス（世界を代表する航空会社のグローバル・ネットワーク）への加盟とグローバル的な再編で注目されている中国国際航空の総指揮者。香港のキャセイ・パシフィック航空（ 国泰航空・Cathay Pacific Airways）と資本の相互提携と業務提携により、両社の航路が全世界をカバーすることに。

＊姜　建清　中国工商銀行株式有限公司董事長

　2006年10月、中国工商銀行が香港と上海で同時上場した後、IPO・新規公開株の世界最高値を更新し、時価総額は1万億元を突破。マラソン選手の強い忍耐力と百メートル選手の瞬間的爆発力を併せ持ち、国有銀行の市場化改革という厳しい試練に果敢にチャレンジ。

＊張　茵　玖龍紙業有限公司　董事長

　中国の女性富豪ナンバーワン。1985年、香港で古紙の貿易を始め、1990年、アメリカに中南有限公司を創設。10年後にアメリカの古紙回収業大手に成長。1996年、広東で1億1000万元を投資して、クラフト紙、ダンボール紙の工場を立ち上げる。創業20年で、総資産が3万元から270億元に。自然配慮型の製紙業を中国で確立。

＊ 沈　南鵬　紅杉資本中国ファンド創始者

　ベンチャーキャピタルを生かして、従来型のサービス業の改造を成功させた。ナスダック上場企業である旅行情報サイト・「携程網」の創始者でもある。米資本市場での中国株の存在をアピール。携程網の仲間と共同で立ち上げた紅杉資本中国ファンドは、多くの起業を夢見る若者を励ましている。

＊董　明珠　格力電器株式有限公司総裁

　「格力（GREE）」は11年間連続、売上と市場シェアが市場トップを保持した空調メーカー。安定したハイクオリティの製品で、100カ国と地域に4000万以上のユーザーを有す。張茵と並んで、パーソン・オブ・ザイヤ2006のたった二人の女性入賞者。

＊劉　永好　新希望集団董事長

　中国民営企業のパイオニア、中国の宝くじ事業の創始者の一人。兄弟4人で立ち上げた新希望集団（本社所在地：四川省成都市）は飼料、乳製品からスタートし、今では不動産、ハイテク、化学工業、金融などを網羅する大型企業集団に変身。農村に土台を据えて事業展開をし、2006年3月から、新農村建設に身を投じる民営企業のパイオニアになり、食の安全性向上にも意欲的に取り組んでいる。

＊高　徳康　波司登株式有限公司董事長

　「波司登」は中国羽毛服メーカーの最大手で、市場シェアの半分を握っている。本社は江蘇省。企業ブランドの価値は33.69億元に達している。全国で16社ある「国際的競争力のある中国企業」の中のたった一社のアパレルメーカー。「波司登」はもともと、農村や農民に根付いた「郷鎮企業」としてスタート。その成功で、潤った農民の数は数百万人に上ると見られている。

＊施　正栄　無錫尚徳電力コントロール有限公司董事長

　中国のクリーンエネルギー地場産業を立ち上げた起業者。2000年にオーストラリア留学を終えて、無錫に創設した尚徳電力持株有限公司は、今や、中国最大のソーラー電池のメーカーに成長。

＊張　近東　蘇寧電器集団董事長

　「蘇寧」は南京に本社がある大手家電小売店の一つ。1990年、空調専売店として会社設立後、16年後の今では、全国で400店舗、７万人の従業員、年商200億元の大企業に成長。（米）ウォルマートを追い抜き、中国の家電小売の老舗を目指している最中。