中国の若手民謡歌手、雷佳さんがこのほど最新アルバムをリリースしました。このアルバムには、タイトルどおり、漢族を含む中国の56の民族の特色ある音楽が56曲が収められています。「音楽の散歩道」、今週も先週に引き続き、このアルバムに収録されている中国56の民族の民謡をお届けします。
まず、一曲目は、雷佳さんが歌った蒙古族の民謡、「ノエンジア」です。蒙古族は歴史が長く、発達した民間音楽の財産を有しているため、「音楽民族」とたたえられています。蒙古族の民謡は、内容が豊かで、幅広い題材を取り上げています。今からお聞きいただく「ノエンジア」は、広く伝わっている歌で、ふるさとを偲ぶ気持ちを歌っています。歌のタイトルとなったノエンジアは、ある蒙古族女性の名前です。彼女は遠い国に嫁ぎ、二度とふるさとに帰ってこられなかったのです。
「秋の雁はどんなに遠くまで飛んでいっても、春には必ず戻ってくるよね。川辺にたたずむノエンジアには、ふるさとのかまどの煙も見えない。馬は静かに遠方を眺め、馬車のほろが風になびく。遠くに嫁いだノエンジア、家を想って涙を流す」と歌われています。
続いては、中国西北部の新疆ウイグル自治区に生活している少数民族、ウイグル族の民謡をお届けします。ウイグル族の民謡にはたくさんの恋歌があります。若い男女の熱烈な思いは、民族的特徴と地域的特色を持った音楽手法で表され、独特な魅力があります。それでは、男女デュエットで歌った「アワリグリ」を聞いていただきましょう。アワリグリは女性の名前です。
最後に、中国西南部雲南省に生活している徳昂(ドアン)族の民謡から、代表的なものをひとつお届けしたいと思います。ドアン族は、「古い茶農家」と言われます。昔からお茶、特に濃いお茶を飲むことを好み、お茶の栽培に長じ、それぞれの家にも茶の木があります。こんなお茶が大好きなドアン族の民謡も、茶のようにすがすがしく深みのあるものです。これからお届けする歌は、「花の香りは彼と共にやってきた」です。この歌の伴奏には、中国雲南省の民族楽器「葫芦糸(フルス)」が使われており、民族的な味わいが深く、静かで心地よい一曲です。「四月の花の香りがする。春風は彼の香りを村に運んできた。花の香りは彼と共にやってきた。話しかけたい、見つめたい、笑いかけたい。けれど、恥ずかしい。山の森から飛んできた歌声が聞こえた。春風は彼の笑顔を私の心に焼き付けた。花の香りが彼と共にやってきた。話しかけたい、見つめたい、笑いかけたい。けれど、やはり恥ずかしい」と、ときめく女性の恋心を歌っています。
「音楽の散歩道」、今日は、若手歌手雷佳さんの新アルバム「中国56民族の歌」から、中国北部の蒙古族とウイグル族、そして、西南部の雲南省に住むドアン族の歌を、一曲ずつあわせて三曲お届けしました。3回に渡って送りした「中国56民族の歌」特集、いかがでしたか?来週は、中国有名な民謡歌手、閻維文さんが歌った民謡をお送りします。どうぞお楽しみに。
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