中国には漢民族以外に、55の少数民族があります。しかし、客家は少数民族の一つではありません。その先祖は、中国の中部地区で暮らしていた漢民族です。昔、戦乱や自然災害を避けるため、中部地区から南の福建省や広東省、台湾などに移動しました。これらの人々が、「客家」と自称しています。ちなみに、客家は、お客さんの客に家と書きます。この名前の由来は、その字が表しているように、外来者という意味ですが、実際は、決して、中国にやって来た外来者ではなく、むしろ、黄河文明発祥の地の漢民族なのです。その言葉には、古代黄河流域の言葉の語彙や音韻を、多く残しています。ですから、自らを客家と称していますが、実は、その人達こそ中国で一番正統な漢民族と言えるのです。
客家の民謡は、メロディーが美しく、歌詞が分かりやすく、ちゃんと韻を踏んだものが多いですね。歌の題材も幅広くて、愛を歌うラブソングもあれば、暮らしの中の喜びを歌うものもあります。客家の人々は、一年の間に起こった事柄すべてを歌に取上げ、美しく歌いあげています。ほとんどすべての曲には、トリルや声の高さを連続的にずらしていくポルタメントなどの装飾音が取り入れられ、メロディーが一段と滑らかできれいに聞こえます。
今週の「音楽の散歩道」では、客家民謡「花のような娘」をお届けしました。この歌は、年頃の女の子の美しさを歌っています。「春風がソヨソヨと吹く中、雲も花も恥ずかしくなるほどの美貌。年頃の娘はまるで一輪の花。若者を愛す情も深く、二人は仲良くいつも笑顔」と歌っています。
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