銭鐘書(1910ー1998)は中国近代の著名な学者、作家です。
1910年、江蘇省の無錫に生まれ、1933年清華大学外国語学部を卒業しました。1935年、イギリスのオックスフォード大学に留学、副博士の学位を取ったあと、再びフランスのパリ大学に留学、フランス文学を学びました。帰国後は昆明にある西南聯合大学外国学部で教鞭を執ったほか、国立師範学院英語学部の部長を兼任しました。以降は中央図書館外国語部の総編集長となりました。
新中国成立後は、清華大学外国語学部の教授のほか、中国科学院文学研究所研究員、哲学社会科学部学部委員となりました。さらに全国政治協商会議委員などの職を歴任、1998年12月北京で88歳で亡くなりました。
銭鐘書は博学で、数カ国の外国語に精通したほか、文学創作や学術研究などの面でも卓越した貢献をしました。彼は中国文化に大きな影響を与えました。一つは、文化批判の精神で中国と世界を見つめたこと、もう一つは、いかなる理論や学説にも拘らないと同時に、いかなる権威に対しても盲目的に従わなかったことです。
1941年に、散文集「人生を書き写す」、1946年に、短編小説集「人・獣・鬼」、1947年に長編小説「囲城」、1948年に、「談芸録」を発表しました。そのうち、小説「囲城」は多くの外国語に翻訳されて、出版されました。
新中国成立後、「宋詩選」、「管錐篇」五卷、「七綴集」、「槐聚詩存」などを出版しました。そのうち、1979年に出版された「管錐篇」は彼の研究成果を集大成した学術著作です。(劉非)
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