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(三)「天の桃」ー1
   2006-12-12 11:19:52    cri

 今度は、浦松齢という昔の人が書いた本から「天の桃」です。

 「天の桃」

 正月には、よく大道芸人たちが町中で技や出し物を見せ、みんなを喜ばせたものだった。ある年の大晦日、この町中でこれからも芸を売らせてくださいという意味だろう。これら芸人たちは、例年のように役所の庭で技や出し物を役人たちに披露したものだ。

 で、この日だけは役所にも町の人が入れるのだ。実は来た人が多すぎて、半分以上が入れなかった。役所では、役人やこの町のお偉方が階段の上で椅子に座りこれを見ている。

 出し物が始まり、それはにぎやかだった。そのうちにある初老の男がやまあらしのような髪の毛を生やした子供を連れ、庭の真ん中に立った。子供は天秤棒で何かを担いでいる。そこで青い服を着た一番偉そうな役人が聞く。

 「なんじゃ?今度はなにをみせようというのか?」

 これに男がこたえた。

 「はい。季節外れの果物を出して見せます。どんなものでもかまいません」

 「うん?季節外れのものとな?まことか?何でも出せるというのか?」

 「はい」

 そこで、役人たちは相談し始めたのか、やがて一人が言い出した。

 「これ!おまえ。この冬のことだ。では桃をだしてみよ」

 これに見物人らはわいわいがやがや。そうであろう。今頃、桃があるわけがない。そこでみんなは、男と子供がいかに桃を出すのか興味深く見守っていた。

 そこで、男は上着を脱いで、役人たちを恨むような声で言う。

 「こんな寒いときに、なんと桃を出せとはな。もし出せなきゃあ、罰をうけるからな」

 これに息子であるらし子供がこたえる。

 「でも、父ちゃんはさっき、どんなものでもかまいませんといってしまっただろう?」

 「そうだったな」

 「だったら、桃を出さなきゃまずいよ」

 男は暫く考えたあと「そうだ。いまも雪がのこってるから、桃などあるわけがない。仕方がないから天に登って桃を盗んでくるしかないな」

 「え?父ちゃん、天に登るったって、そんなに長い梯子なんかないよ」

 「仕方がないから、方術を使うんだ」

 こう言って男は、子供が天秤棒で担いできた箱をあけ、一本の縄を取り出した。

昔話
v (四)「天の桃」ー2 2006-12-12 11:19:40
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