やがて、夜半になった。そしてかのばあさんが現れ、田さんに近寄ったところ、田さんが叱った。
「お前はどこの化け物だ!早くどこかへ消え伏せろ!」
これを聞いたばあさんは、なんと知らん顔して行ったり来たりしてから言う。
「あんた誰じゃね?」
こういうと右手を振ったが、途端にその手がゆかに落ち、ばあさんは小人に代わり、床の上に飛び乗った。そしてびっくりしている田さんをにらむと、急に田さんのあいた口の中に飛び込んでいった。これには田さん、びっくり仰天。そして恐ろしくなり、体の中にいるばあさんに声を掛けた。
「ば、ばあさん、わしは死なないだろうね」
「大丈夫だよ。わしはお前さんを殺したりはしないよ」
こういってからばあさんは田さんの口から出てきて呂さんにいう。
「あんた。この私が信じられないからこの人を呼んだんだね。まあいいや。これであんたも金持ちになれるワイ。わしもこれで我慢するか」
こういうとばあさんは、また部屋の角でふと消えてしまった。これを見た田さんは、急に変な声を出して部屋から出て行ってしまった。
そこで見た呂さんは、これは大変なばあさんに出くわしたなあと後悔した。
次の日、昨夜のことを呂さんから聞いた友達は、あのばあさんの正体を知るには部屋のあの隅っこを壊して調べなきゃならないと言い出すので、怖くなっていた呂さん、仕方なく友達と一緒に自分の部屋のばあさんが出てくる隅っこを壊し、ばあさんの正体を探し始めた。すると土の中に瀬戸物の瓶がうまっており、中になんと水銀が詰まっていた。
「これは!?」
「呂さんよ。あのばあさんは水銀が化けたんだよ」
呂さん、これを聞いて倒れ、なんと数日も起き上がれなかったという。やれやれ!どうなってんの?
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