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(五)「黄色い痩せた手」ー1
   2006-11-28 11:20:50    cri
 次は同じく「宣室誌」という本から「黄色い痩せた手」です・

 「黄色い痩せた手」

 晋陽の西郊外にお寺があり、鄧珪という書生が寺のそばに建てられた小屋に住み込んだ。ある日、友達を呼んだ鄧珪が、みんなと夕餉を楽しんだあと、四方山話にふけっていると、暗くなった窓の外から一本の手がにゅうと入ってきて、指を動かしてから、外に引っ込めた。それも黄色く痩せた手で気持ちが悪い。みんなは怖がったが、鄧珪だけは恐れた様子はなく、立って窓を大きく開けると、誰かが詩を読む声がする。そこで鄧珪は、大声で聞いた。

 「あんたは誰かね?」

 すると答えが来た。

 「わしかね。わしはこのあたりに長く住んでいるものじゃ。今夜は、散歩でしてのう。実はお前さんがここに住んでいるときいたので、ついでに寄ったまでのこと。で、お客がおられたので窓の外におったのじゃが、話が面白いので思わず出を出してしまってのう」

 これを聞いた鄧珪は、はじめは不気味に思ったが、もしかしてこれはどこかの仙人ではないかを思い、「そうであれば、わたしの客として中にお入りくだされ」

 鄧珪がこういったので友達らはギョッとしたが、ここは鄧珪の住まいなので黙って新しい客を迎えた。

 入ってきたのは、黄色い肌の痩せた老人で、鄧珪とその友達らといろいろ話し始めた。。しばらくして老人は席を立った。

 「これは、楽しい夜のひと時でござった。また、明日の夜来ますので、よろしくお願い申す」

 こういい残し、老人は去っていった。そこで一人の友達が言う。

 「鄧珪どの。あれは、きっと何かが化けたものですぞ」

 「わたしもそう思う。あの黄色くて細い手は人間のものではないからのう」

 「そう。どうです。明日の夜、またみんなでここに集まり、奴の正体を暴きましょう。そうでないと、ここに住む鄧珪どのがあぶない」

 「そうだ。そうだ。しかし、化け物だったら、わたしらで、やっつけられるかなあ」

 「大丈夫。長い縄を用意してしっかり縛り付ければいいでしょう」

昔話
v (六)「黄色い痩せた手」ー2 2006-11-28 11:20:24
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