土族の若者たち	刺繍をする土族女性	仏教を題材にした刺繍

　土（トウ）族は、中国５５の少数民族の一つ。人口は約２４万人で、そのほとんどは中国北西部の青海省互助土族自治県と周辺の民和、大通、同仁などに住み、また一部は甘粛省天祝チベット族自治県に住んでいます。

　土族の祖先は昔、蒙古族と地元のホール人の間に生まれ、代々この地で生活してきました。

　彼らの言葉、土語はアルタイ語系の蒙古語族に属しており、「互助」と「民和」の２種類の方言があります。昔は漢字を使用していましたが、1979年以降、ラテン文字を原形として作られた土族の文字を使っています。

　刺繍は土族の日常生活に欠かせないものです。民族衣装や髪飾り、靴下、枕カバー、カバンなどには、みな綺麗な刺繍が施されています。

　土族の女性にとって、刺繍は一生の「仕事」です。子どもの頃から、母親の刺繍を見よう見まねで学びます。結婚して家を出る前、この十数年、学んできた刺繍の「集大成」として、必ず実家で刺繍の"個展"を開きます。さらに、夫の家に来てから、もう一度、展示会を開き、親戚だけではなく、近所の村人も招いて見ても　　らいます。またその"作品"は姑をはじめ、夫の家族にプレゼントするのがしきたりです。そして、女の子が生まれたら、今度はまた十数年の歳月を費やして刺繍を教えます。

　刺繍の手法も様々で、特に「一つの針に二本の糸」を使った「盤繍」という手法が特に優れており、国の　　無形文化財にも指定されています。

　（担当：藍暁芹）