さて、今日は、紹興酒についてお話しましょう。この紹興酒を紹介するにはまず黄酒(ふぁんじゅう)の話をしなければなりません。というのは中国の黄酒の代表が揚子江南部逝江省紹興で作られた紹興酒だからです。また老酒とは長年熟成させた黄酒のことです。黄酒は、中国では4000年前から造られ飲まれた酒とされ、もともとは「黄土に生まれた酒」という意味をもってたんです。なるほどね。この黄酒とは穀物を麹で糖化して醸造した酒のことで、中でも有名なのは紹興酒、老酒などです。アルコール度15%ぐらいの琥珀色のもので、酸味と甘味を感じさせるんですよね。私がはじめて飲んだのはかの文化大革命でのいわゆる「串聯」のとき。そうですね。日本語にして、この「串聯」は、「経験交流」でしょうか?でも実際は学校は授業を止め、工場は生産を停止し、馬鹿騒ぎの政治運動ばかりやってて、為になることはあまりやらなかった時代です。全国がそうでしたからね。ま、文革の話は長くなるのでこのぐらいにして、なにしろ、数人の同窓と一緒に、汽車賃払わなくて、西安から西まわりの鉄道に沿って成都、重慶、西南部の昆明、そして南の広州などを見物に行きました。で、黄酒の本場は浙江一帯なんですが、この林涛が初めて「黄酒」を飲んだのは広東でした。あれは1966年の11月の初めでしたが、まだ17でしたね。広州のある店で黄酒を勝って飲んだんです。というのはそのときはまだ白酒はあまり飲めなかったのですが、それでも、南方の甘酒は口に合わないと、(まだ小僧なのに生意気でした)店頭に並べてあったものですから、これ飲んでみようと一本買って、ピーナツをつまみに公園で何人かで飲んだのを覚えています。でも、はじめは漢方薬の匂いがして、少し抵抗を感じたのですが、そのうちに甘みを感じ、「これじゃあ、まだいけるぞ」と、また二本ほど買ってみんな飲んじゃったんです。おかげで酔ってしまい、何とか宿泊所まで辿り戻り、ベットにやっと着きバタンキューというありさま。いくらアルコール度数が15度程度で低いというものの、無茶でした。まだ若かったし、あまり飲めない時でしたからね。