実は、このとき酔っ払ったことが忘れられず、その後はかなり長いこと飲んでません。それに68年からは北京を離れ東北に行き、もっぱら白酒を飲んでましたからね。ですから、黄酒とは長い間お目にかかっていません。また、話が脱線しましたが、黄酒は蒸したもち米と麹、酒母を混ぜて仕込み、発酵させて濾過したもので、色が黄褐色をしているから黄酒と呼ばれたそうです。
で、黄酒は世界の三大古酒の一つとされ、中国が産地ですが、中でも有名なのは紹興酒、福建老酒、無錫の恵泉酒、広東の珍珠紅酒、山東の即墨老酒、上海老酒など例を挙げれば、きりがないからこのぐらいでやめときます。でも中国の醸造酒で潤・Pといえ、一番多く飲まれ、黄酒の特色を代表できるといえばやはり、紹興酒でしょう。
紹興酒の歴史は先ほど申しましたがとても古く、かの春秋時代に書かれた本「呂氏春秋」から、のちの多くの書籍に紹興酒に関することが載っています、特に清代の飲食専門著書「調鼎集」は紹興酒の歴史的変遷、品種とその優れた品質をかなり細かく紹介し、紹興酒が内外に知られるのは、主にはその優れた品質にあるとまとめ、また、清代の詩人、金持ちで知識人でもあった袁牧の書いた古典料理書「随園食単」には、紹興酒は、清廉潔白な官吏のように純粋で、その味はまともで、素晴らしい後味が残るという意味のことが書かれています。更に、先ほどの「調鼎集」などは、紹興酒を褒めちぎり、天下の酒には、飲めば飲むほど渇きが増すようなまずいものが多いが、紹興酒は、甘みあり、香りがよくとてもうまく、これは筆者だけでなく多くの人が上質のものだと評価しているというようなことを書いています。
何はともあれ、紹興酒は昔から名が知られ、特に揚子江一帯か、その南では多く飲まれていたようです。アルコール度は15、16度です。紹興酒には辛口の「加飯酒」もあります。また紹興地方では、女の子が生まれると紹興酒を入れた甕を庭に埋め、その子が嫁に行く時もたせるたもので、その甕に美しい彩色を施したことから「花彫酒」という名が付けられています。
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