さて、洋河大曲美味しいのは、その水が汲める「美人泉」のおかげだといいます。こんな話があります。
むかしむかし、蘇北の洋河鎮に阿美という美しい娘がいた。彼女は心優しかったが、家が貧しかったので、仕方なくある家で下女をしていた。この家の主は酒好きで毎晩酒を欠かさず、その酒は下女の阿美に遠くの酒屋まで買いに行かせていた。
とある日、いつものように、主から金をもらって酒屋に行く途中で、子供を連れた年取った物乞いに出会ったので、阿美はその年寄りと子供がかわいそうになり、どうしたことか酒を買うお金を物乞いに全部くれてしまった。
「これはどうも。ありがとうよ。娘さん。いいのかい?これ全部もらって」
「いいのよ。早くこのかわいそうな子供に何か食べさせてあげて!」
こうして阿美は酒を買う金がなくなったので、かの酒屋から離れたところに小さな泉があるのをみつけ、その水を酒壷に汲んで持ち帰り、「きっと今日はお仕置きを受ける」と覚悟しながら主に酒壷を差し出した。
「なんじゃ?阿美、今日は遅かったな。どこで油売っていた!ま!いい」と酒瓶から杯に注いで飲んだ。
「うん?これはうまいのう!よしよし!今度からこの酒を買ってこい!うん!これはうまい酒じゃ」
ということになり、どうしたことか訳がわからない阿美だが、この町には多くの人が増すしく暮らしているのだと思い、次の日から、主が渡した金をすべて町の貧しい人々にくれてしまい、やはりかの泉の水を汲んで持ち帰り、主に渡していた。
ところが、のちにこの事がばれてしまった。
「なんと言う娘だ!酒買う金を貧乏人に全部渡して、このわしを騙すとは!」とかんかんに起こった主は、なんと手下に命じて阿美を拷問にかけたので、体がもともと弱かった阿美はとうとう死んでしまった!
すると、どうしたことか、かの泉の水はよりおいしくなり、その酒の香りは遠くまで漂ったので、人々は、貧しい人のために命を失った阿美を酒の女神と崇め、地元の酒造りの職人や商人は、そこに祠を建て、この泉を「美人泉」とよんだという。え?そう!
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