中国北西部、甘粛省の臨夏は、黄土高原と青海チベット高原のあいだ辺りに位置しています。ここはかつてシルクロードとして栄えていました。地元産の漢方薬や羊毛、ニンニクなどが各地へ向かい、そして、布やお茶、紙、塩などが運び込まれました。鉄道や自動車がない時代、馬を引いて荷物を運ぶ職業がありました。それが「脚戸」です。
民謡「四川まで下っていく」は、その「脚戸」の気持ちを歌に託した曲です。はるか遠くへ行かねばならないため、彼らは家族や愛しい人となかなか会えませんでした。
今、現役の「脚戸」はもういません。でも、今年69才になった馬三保さんは、かつての「脚戸」でした。高原をたった一人で歩いているとき、寂しくてたまらず、馬を引きながら、よく大声で歌ったそうです。
「四川まで下っていく」
歌詞:
「四川まで下っていく
山々が連なっている
僕は四川に向かう
昼も夜も、ひと時も停まらず
きみのことを思う
毎晩、きみの夢を見ている
四川への道に たたずみ
君をずっと思う
脂っこい料理を食べても
太らない
脂っこい料理を食べても
太らない」
次は、甘粛省の民謡、もう一曲をご紹介しましょう。女性歌手が男性の気持ちを歌っています。
「きみ、ヒメユリのようだ」
歌詞:
「君、ヒメユリのようだ
君の家の前を来たり行ったりしてドキドキする
君の顔を見たい
ヒメユリのような顔だ
君が病気にかかったと聞いて 苛立ち
氷砂糖を買って お見舞いにいく
ヒメユリのような君よ
僕はヒメユリを根から引っこ抜いて
君にあげる
髪にヒメユリをつけて
ヒメユリのような美しい君よ
君のこと、大切にする
君のこと、好きだ
死んでも分かれたくない
一日、三回も見に来る
ヒメユリのような君よ」
(担当:藍暁芹)
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