お寺の境内に至る所、鐘、鐘、鐘。今日は鐘ばかりを集めた北京大鐘寺古鐘博物館を訪ねます。大鐘寺は地下鉄13号線の大鐘寺駅から歩いて7、8分のところにあります。集められた鐘は約700個、そのうち500個ほどが展示されています。
鐘は時を告げるものであったり、音楽を奏でるのに使われました。銅製のものがほとんどですが、古いものでは陶器で作られたものもあります。ずんぐりした型だけが印象に残りますが、近づいてよく見ると、花模様とか仏像が彫りこんであったり、銘文が刻まれてあったりします。
この博物館で目を引くのは、なんといっても「永楽大鐘」という世界でも歴史の古い最大の鐘です。作られたのは明代の永楽18年といいますから、1420年です。重さは46トン、直径は3.3メートルもあります。46トン以上の鐘は世界に8個あるそうですが、歴史が一番古いのは、永楽大鐘です。京都の知恩院の大鐘もけっこう大きくて、74トンあるそうですが、永楽大鐘はそれより280年ほど早く作られています。そして、銘文が最も多い鐘です。23万余りの経文や呪文が刻まれています。
そして、研究者がさらに誉めるのは、鐘の音色の素晴らしさです。反響が正確に計算しつくされており、15キロ四方には確実に伝わったといわれます。さて、46トンもの鐘、どうやってつるしているのでしょう。これは一つ、皆さんご自分で確かめてください。
実はこの鐘、三度の引越しを経て今の場所に落ち着きました。清の雍正帝時代に別のお寺からの移転が決まり、実際に移されたのは、それから10年後、代も変わって乾隆帝の時代、1743年のことでした。それまで、お寺の名前は覚生寺という名でしたが、永楽大鐘がしつらえられると、大鐘寺と呼ばれるようになりました。当初は皇室の仏事を営む仏具として、または雨乞いの儀式にも使われ、今は新年を迎える象徴としてその役割を果しています。
大晦日、12月31日の夜、大鐘寺でも108回の鐘が突かれます。日本からもたくさんの人がやってきます。時差の関係で午後11時から、200人ほどの人がつけるそうです。
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