地下鉄2号線の朝陽門で降り、東のほうへ歩き出すと、中国外務省の大きなビルが見えます。近代的なオフィスビルが多く、いつも人がせわしげに動いています。もう少し、東に足を向けてみましょう。右手に、時代から取り残されたような門柱が建っています。道路(朝陽門外大街)をはさんで反対側に、東岳廟というお寺があります。700年の歴史がある道教のお寺で、ここが今回紹介する北京民俗博物館です。
北京でただ一つの民俗にしぼった博物館で、人々の暮らしぶりがよく伝わる博物館です。1999年に一般公開が始まったばかりですので、歴史はさほど長くありません。ただ旧正月のお祭り・廟会はずっと前から続いており、福を求める北京市民でごった返します。
まず、お寺のほうに足を踏み入れてみましょう。76人の偉人の像が飾られています。一人一人にはお付きの人が10人ほどいて、そのうちの一人が、犬だったり、カエルだったりします。見ていて楽しくなります。本殿に通じる通路には、赤いお札がいっぱいぶら下がっています。旅の安全、商売繁盛、受験など8つの願い事がかなうそうで、自分の名前を記入して、くくりつけてあります。日本の神社で見られる絵馬とそっくりです。
この本殿の裏手が博物館になっています。いまは北京の伝統的な祭日についての展示が行われています。7月7日は七夕節でした。中秋節は8月15日。コオロギを育てる虫かごが見えます。菊の花をめでる重陽節、9月9日です。中国の人はお祝い事があると、飾り物をすることが多く、清の時代の鮮やかな赤色の壁掛けが目に付きます。
春節のコーナー。これはにぎやかです。旧正月に着る衣裳、こまなどのおもちゃ、影絵用の人形、トランプ、テレビゲーム時代にはない、ぬくもりが伝わるものが並んでいます。
ところで今年は戌年。それにちなみ、各地の犬の飾り物を集めた特設コーナーもありました。特別展示は端午節、中秋節、春節など節目、節目に行われる、とのことです。
年ごとに進む北京の近代化。消えていく風習は少なくありません。残してほしいものがいっぱいあります。副館長の李彩萍さんにその思いを伺ってきました。
「北京民俗博物館の責任者として、中国の伝統ある風習がもっと広く伝わっていくように努力したいと思う。春節のお祝い事や民家の飾り物などについての展示をやって、こうした民間の風習を、もっと多くの人に知ってもらいたいである。」
住所:北京市朝陽門外大街141号
電話:010?65510151
http://www.dym.com.cn
|