二年後の北京オリンピックを控えて、中国では、人々のスポーツへの意欲がますます高まりつつあります。このほど、北京国際スポーツ映画週間が開かれ、アメリカのサッカー映画『ゴール』、中国の女子バスケット選手を描く『5番バスケ選手』、ヨーロッパで大人気のコミックを映画化したフランスの作品『ミシェル・ヴァイヨン』、日本の『合気道』など、26の国内外のスポーツ映画が、北京の映画館やテレビ局で上映され、人々の関心を引き寄せています。また、チャン・イーモー監督を含む監督たちはスポーツ映画に関する交流会も行いました。
「カルチャーピックアップ」、今日は、中国のスポーツ映画をご紹介したいと思います。
1943年、孫ユウ監督が上海で完成した作品『The Queen of Sports』が、中国で初めてのスポーツ映画となりました。1949年から1966年まで、中国では10本ぐらいのスポーツ映画が撮影されました。そのうち、名監督謝晋による『5番バスケ選手』(Girl Basketball Player No. 5)が、女子バスケットボールのプロ選手の活躍と恋愛ストーリーを描き、観客に高く評価される映画です。
もちろん、時代が違えば、人々が考えることも異なります。映画はおそらくその時々を映す鏡だと言えるでしょう。1984年、中国は夏期オリンピック大会に復帰し、許海峰選手が射撃のチャンピオンを手にしました。そのころ、スポーツの成績と国際大会でメダルを獲得することは、民族振興のシンボルだと見なされていました。特に、当時、中国の女子バレーが三回続けてワールドカップのチャンピオンに輝いたことは、更に、中国人のスポーツへの情熱に火をつけました。そんな背景の下で、すばらしいスポーツ映画が次々と製作されてきました。例えば、中国の女子バレーチームが金メダルを獲得することを描く『沙鴎』、サッカー選手の生活をテーマにした『がんばれ!中国!!』、中国女子スケート選手の生活を語る『氷と火』などがあります。こうした映画は選手のトレーニングと試合の激しい場面をイキイキと再現するため、撮影するとき、常に危険なことが起こります。『氷と火』の監督胡雪揚さんが、当時東北地方で撮影した時の場面を振り返り、こう語っています。
「当時、東北の松花江でこの映画を撮影したんですよ。マイナス30℃ぐらいでした。朝8時半ごろ出て、夕方には撤収します。ショートトラックレースですから、最高スピードは96キロから125キロですね。それをレンズでとるためには、私たちは130キロ以上のスピードを出さなければ追いつけないです。かなり危なかったです。二人のアシスタントが足を折ってしまいました。毎日、毎日撮るときに心配でたまらなくて、今振り返ってもぞっとします。」
1990年代になって、中国映画の繁栄に伴って、スポーツ映画も大きな発展を遂げました。この期間のスポーツ映画は、サッカーや、バスケットボール、バレーボール、テコンドー、自転車、レスリング、トラック競技など、ほとんどのスポーツ種目にかかわるようになり、一部の映画はさらにスポーツそのものを超えるものに焦点を当てています。尹力監督の作品『私の九月』は、ある子供が1990年北京で開かれたアジア大会の開幕式パフォーマンスに参加するため、自分の欠点を直そうと一生懸命がんばったことを語っています。尹力監督です。
「当時、北京の小学生たちが深い印象を残してくれました。アジア大会の開幕式のため、炎天下で団体体操を何回も何回も練習していました。一人の小さい自分が団体に溶け込んでいく気持ちはすごく感動的なものでした。」
尹力監督は、ここ数年、中国のスポーツ映画は内容から表現の手法まで大きな変化が起こったと認識しています。尹力監督は、
「スポーツ映画の内容の変化について、我々は肌で感じています。『5番バスケ選手』や『スケート姉妹』など初期の作品で、一人の成長を描いたのに対して、『少林サッカー』や『頭文字D』などの新しいスポーツ映画には、より多くのお洒落でユーモラスな要素が加えられたので、今の観客に歓迎されています。」 尹力監督はこのように語りました。
ところで、中国の映画は市場化の道を歩んでいますが、映画をエキサイティングなものにし、より多くの観客を引き寄せることは、スポーツ映画が直面している問題です。香港の名監督呉思遠氏はこう話しています。
「中国のスポーツ映画はまだ少ないです。スポーツ映画ではスポーツだけではなくて、その中に潜んでいる心の部分を掘り起こせばいいと思います。成功の話はもちろん、失敗の話も興味深いものです。とにかく、スポーツを通じて、人間に向上心を持たせることが大事です。」
スポーツ映画は競技場の丸写しではなく、凝縮した物語がなければなりたてません。また、スポーツ映画はほかの映画と同じように、実際の生活から題材を選ばなければなりません。2008年北京オリンピックの近づくにつれて、中国のスポーツ映画も新しい力作がもっともっと現れるに違いないでしょう。
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