中国天津と言えば、栗、煎餅と『狗不理』の饅頭を連想される方が多いでしょう。実は、天津を代表するものには、もう一つあります。それは、民間芸術として有名な、泥で作った人形・「泥人張」です。
「泥人張」は、約180年の歴史を持っています。創始者の張明山さんは、天津に生まれて、幼い頃から人形づくりの技を磨き、本人そっくりの人形を作っていました。それで、「泥人張」と呼ばれるようになったそうです。その後、「泥人張」は張家一族の手によって守られ、現在、4代目まで継承されています。
「泥人張」は、特有の暖かみがあり、素朴で非常に繊細で、生き生きとしたリアルさが特徴です。その主題は庶民の生活風景や動物、京劇などの戯曲から取材したものです。特に、人物の性格や体つきなどの特徴をよく捉えているところから、中国人はもちろん、アメリカ、日本、韓国など、世界中の人に親しまれています。
その大きさは、普通は、あまり大きくなく、高さは約40センチメートルで、机の上や本棚に飾ったりされます。次に、泥人形の作り方について、ご紹介します。
泥人形に使う泥は、砂があまり含まれていない泥状粘土です。
次に、色づけのときに使う絵の具ですが、主に使用しているのは、アクリルの顔料です。それは、覆う力が強く、割れない、剥げ落ちない、色が褪せない、一度乾くと、水で洗うことができるなど、様々な利点があります。
さて、作り方ですが、まず、泥はそのままでは使えないので、少し加工することが必要です。清浄な泥状粘土をよく叩いてほぐして、濾過した後、脱水します。そして、さらに綿を加えて、また何回も叩いたあと、こねます。それで、ついに出来上がるのが、「熟泥」と呼ばれる粘り強い泥です。
この「熟泥」で泥人形を作った後、乾かします。ここで注意すべきところがあります。いい泥人形を作るには、窯(かま)に入れる前に、直射日光とかまどの周りに絶対に放置してはなりません。直射日光を避けた自然乾燥で完全に乾かした後、窯に入れ、700度前後で焼き上げます。
窯から出した後、泥人形に磨きをかけ、色付けします。色が乾けば完成です。
優しい風合いと生き生きとした表情豊かさが皆に愛されている泥人形です。その一つ一つの小さな人形に、中国の伝統文化が潜んでいるといえます。
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