四川省アバ州理県のある村に住む少数民族「チャン族」のエルマイナさん。彼女は去年8月7日までは、どこにでもいる、ごく普通の19才の少女でした。家畜の羊の世話をしたり、野良仕事に精を出したり、家事を手伝ったり・・。
しかし、今やエルマイナさんは有名人。テレビ番組に出たり、携帯のイメージキャラクターをつとめたり、連続テレビドラマの主役にも決まるなど、引っ張りだこの毎日です。
エルマイナさんの人生を変えたのは、インターネット。去年8月、車で四川省を旅行していた楊軍さんは水を探す途中、偶然、エルマイナさんと出会いました。その美しさと純朴さに心を惹かれ、楊軍さんは思わずシャッターを切りました。そして、2005年8月7日、彼はインターネットの「車クラブ」の掲示板で「旅行中、天仙MMとであった!」(天仙は「きわめて美しい女性」のたとえ、MMは、インターネット用語で、女の子との意味)とのタイトルで、写真を載せました。それからひと月間、十数万の人がそのページをアクセスし、多くの反響を呼んだのです。
エルマイナさんの写真はいつしか全国の人の話題となり、一躍、彼女は全国でも有名になりました。しかし、彼女はこのことを全く知らず、相変わらず農村で家の手伝いをしていました。インターネットなど使ったこともなかったからです。
しかし、こんなエルマイナさんをその他のメディアが放っておくはずがありません。彼女のところにメディアとビジネス関係の会社が相次いでやってきました。そして彼女の存在を世に知らしめた楊軍さんは、エルマイナさんのマネージャーとなりました。これでエルマイナさんの人生が大きく変わったのです。
いまやあらゆるメディアが注目する有名人・・「現代版シンデレラ」となったエルマイナさん。でも彼女の純朴さ、素朴さはまったく変わりません。ただ、こんな風に人生が変わってうれしいことがあるそうです。それは、お父さんが医者にかかる費用を心配する必要がなくなったこと、そして村の子供たちのため、小学校を作ることができたことだそうです。
PS:チャン族は、中国の55の少数民族のひとつです。人口は30万ぐらい。 主に四川省アバチベット族・チャン族自治州およびその付近の地区に住んでおり、特に茂汶チャン族自治県に集中しています。その他は漢民族、チベット族、ホイ族などの民族とともに暮らしています。
民族の言葉、チャン語を使っています。自民族は文字がなく、漢字を使っています。
チャン族の人たちは、昔から「万物には霊魂がある」とする原始宗教を信仰してきました。チベット族の人たちと一緒に暮らしている一部のチャン族はラマ教を信仰しています。
チャン族は中国における悠久の歴史を持つ民族の一つで、"甲骨文字"の中には早くも3000年前の殷の時代のチャン族に関する記載があり、主に中国の北西部と中原地区に住んでいたということです。唐の時代に、チャン族の一部はチベット族に同化し、また一部の人たちは漢族に同化しました。現在四川省北西部に住んでいるチャン族の人たちは古代チャン族の子孫の一系統です。チャン族の人たちは自分たちのことを「爾瑪」あるいは「爾咩」と称します。「地元の人」という意味です。トウモロコシ、大豆を主とする農業に従事しています。
(担当:藍暁芹)
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