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秋を歌うコオロギ

2016-11-04 16:29:54     cri    

秋を歌うコオロギ



 11月初めの北京、秋の気配が深まり、草や木が黄色や赤、茶色の秋の衣装に着替え始めています。草むらの中からはコオロギの鳴き声が流れ、その心地良い声は、夏の思い出、まもなく過ぎ去る秋の名残を歌っているのかもしれません。今回の中国メロディーは、そんな秋の名歌手・コオロギにまつわるエピソードと音楽をご紹介しましょう。

秋の風物詩

 中国では、コオロギは昔から秋の風物詩とされています。中国最古の詩集である「詩経」の中に「十月蟋蟀入我牀下(十月、蟋蟀我が牀下に入る)」。「10月になると、コオロギは 私の床の下に入ってくる」という詩句が残されています。

 今から1200年前、唐の玄宗の時代、後宮の女性たちがコオロギの鳴き声を好んでいたため、それを容器に入れて枕の傍におき、夜にその鳴き声を楽しんでいました。また、コオロギの鳴き声を楽しむだけではなく、戦うという特性を見つけて、後宮では「闘蟋(とうしつ)」というコオロギのオス同士を喧嘩させる遊びの「コオロギ相撲」が流行していたそうです。

 コオロギ宰相と皇帝

 中国では昔からコオロギは、コオロギ相撲の戦士として取引されていました。唐の時代にまで遡る闘蟋は庶民から宮中、多くの皇帝、大臣も楽しんでいたほどです。しかし、遊びを超えて熱中し過ぎた人々も多く、南宋の宰相・賈似道は「コオロギ宰相」の異名を取り、闘蟋に夢中になりコオロギ相撲のための飼育書を著したほどで、最後には国を滅ぼしてしまったという逸話も残されています。

 また、明の宣徳帝は、明の歴史の中では珍しく聡明な皇帝でしたが、コオロギ相撲にのめり込んでしまい、わざわざ特使を派遣して江南地方で優れたコオロギを探すようになりました。その結果、大量の人と財力を無駄にし、後世は「コオロギ皇帝」と嘲笑されました。

闘蟋の伝統

 「闘蟋」は、1000年以上の歴史を持つ伝統競技として、今も残されています。私の子供時代と比べて、今の闘蟋の規模とレベルはずいぶんと高くなりました。毎年秋になると、各地で様々な規模の試合や大会が開催されています。しかし、これらの大会の参加者のほとんどが年配の人が多く、若者や子供は少ない状況です。遊びが大好きな子供たちは毎日、様々な試験や宿題、塾などの勉強に囲まれ、伝統競技の楽しさに親しむ時間がほとんどありません。今の子供たちの思い出の中にも、コオロギのたくましい姿と美しい歌声が残って、この伝統が受け継がれていってほしいと願っています。

番組の中でお送りした曲

 1曲目 摇篮曲(子守唄)

 歌はは中国東北地方の子守唄です。歌はコオロギの鳴き声を琴の音色に例え、秋の夜の美しさを表しました。

 歌詞:

 月が出て 風もない

 木の葉が窓に寄りかかる

 コオロギの鳴き声は

 琴の音色のようで

 なんと美しい音色なのだろう

 揺りかごがゆらゆらと揺れている

 我が子よ ねんころりん

 夢見て眠れ

 2曲目 蛐蛐(コオロギ)

 1982年のアニメ映画「コオロギ」は、「コオロギ皇帝」宣徳帝の時代を舞台にし、一般庶民が皇帝にオロギを献上するための様々な苦難を描いた物語です。曲は主人公・成名の息子・小華が勇ましいコオロギに変身し、強力なライバルを打ち負かしていき、ついには強敵の鶏を倒すシーンの音楽です。その軽快なリズムは、中国伝統音楽の特色に富んでいます。

 3曲目 欢乐的童年(楽しい子供時代)

 歌詞

 畑に入っていた子供時代が目の前に浮かぶ

 コオロギを捕まえる 

 さつまいもを焼く

 楽しい笑い声が 耳に届いていた

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