9月15日は中国の伝統的な祝日・中秋節です。この時期は一年で最も心地よい季節で、大自然が届けてくれる様々な食材や風景を楽しんでいると、感謝の気持ちでいっぱいになります。今回の中国メロディーは、中国の秋を代表する祝日、中秋節にまつわる音楽をお送りしましょう。

中秋節の夜はグルメの夜

　中国では、旧歴8月15日の中秋節は、一年で最も空が澄み渡り、月が明るく美しいとされ、古来よりそんな月とともに家族団らんを楽しむ風習があります。子供の時の私にとって中秋節の夜は、グルメの夜でした。母が用意してくれる中秋節の伝統的な焼菓子「月餅（げっぺい）」や祖父の庭で取れる甘くて大きいザクロ、それに父が市場で買ってきた立派なカ二を食べて秋の味覚を味わいました。

　また、家族と一緒に城壁の遺跡である西便門のやぐらに登って、白く輝く名月を眺めていたことは今でも覚えています。手を空に伸ばせば、すぐに触れるような丸い月でした。昔から、中秋節の月は私たちを優しく照らし続けています。

収穫の季節

　大地は春の芽生えから始まり、夏に蓄えられたエネルギーを使って、秋の収穫を迎えます。この季節の華北平原は、麦の穂が金色の波のように広がり、果樹園では、ブドウやリンゴ、ザクロ、みかんなどの果実がたわわに実っています。農家たちは1年間自然と向き合った苦労の末、充実した秋風を感じながら収穫作業に勤しんでいます。

　秋の大地は、昔から変わらず私たちの生活を豊かにする贈り物を届けてくれる偉大な存在です。

恋の果実

　中国では中秋は豊作のシーズンだけではなく、恋の果実を収穫する季節、つまり、結婚式シーズンでもあります。そんな幸せな結婚式に美しいラブソングは欠かせません。昔から伝えられてきた素敵なラブソングの中に「鳳求凰」という曲があります。

　「鳳求凰」は、中国の前漢の頃の名詩人・司馬相如が妻・卓文君のために創られた琴の曲で、司馬相如が卓文君を恋い慕う気持ちを表現しています。そんな「鳳求凰」によって、二人の恋物語も広く伝えられてきた美談となりました。

番組の中でお送りした曲

1曲目　花好月園（花は美しく、月は丸く）」

歌詞：

春の花と秋の月は最も美しく

少年の真心は心からのもの

人生は雲のように瞬く間に過ぎ去る

それを忘れずに大切にしてほしい

2曲目　丰收（豊作）

　中央楽団の演奏によるこの曲は、人々が豊作を祝う喜びの気持ちを描きました。

3曲目　「鳳求凰」

　この歌は古代の曲「鳳求凰」をモチーフにした歌です。歌は司馬相如が卓文君を恋い慕う気持ちを表現しています。