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先週の18日は旧暦の7月15日にあたり、中国各地は中元節を祝う様々な行事が行われました。中元節は「鬼節(鬼の祭)」とも言われ、人々が先祖を祀り、死者の魂を送り迎えするお祭りです。これにちなんで、今回の中国メロディーは中国の多彩な鬼文化と音楽をご紹介しましょう。
「鬼」の恐怖
鬼と言うと、日本では桃太郎に出てくるような赤鬼や青鬼をイメージすると思います。しかし、中国の場合は、鬼というと幽霊や亡霊のことを指します。
私が中学2年生の時、ほかの学校から転校してきた一人の女の子が私たちと同じ年齢にもかかわらず、社会経験が豊かで、いつもみんなに学校で起きた鬼の物語を話してくれました。男子生徒はみんな興味津々に、女子生徒はぞっとしながらも聞いていました。私は鬼を恐れるあまり、しばらくは毎晩寝る時に刀を枕の下に置いたことさえもありました。やがてこの秘密が父親に見つかり、真剣に鬼について教えてもらったことで、ようやく恐怖から脱出することができました。
鬼の町~豊都市
中国の鬼文化は悠久の歴史を持ち、道教や仏教などの文化の影響を受けました。特に、三国時代、諸葛孔明が劉備を補佐して成立した蜀漢国の所在地であった四川省は昔から鬼文化が盛んな地域です。
中でも豊都市は2000年以上の歴史を持つ古い町で、昔から鬼の町として知られています。ダンテの叙事詩「神曲」の中では文字によって地獄を表現しましたが、豊都市では仏教の中で描かれている十八層地獄をこの目で見ることができます。十八層地獄では、人間が生前に犯した罪を償うため、腹切りや舌抜きの刑などが待っていると言われていて、その様子は豊都市内にある偶像や壁画などから見ることができます。
これは生前に善行を積んで、悪事を働いてはいけないということを人々に伝えるためだと言われています。
幽霊小説「聊齋志異」
私が学生時代によく読んだ幽霊小説に「聊齋志異(りょうさいしい)」があります。作品の中には美しい妖狐と書生や文人との恋物語が多く描かれています。特に人間と妖狐の間のラブストーリーは感動的なものです。
また、「聊齋志異」の中には「聶小倩(じょうしょうせい)」という話があり、これを原作とした映画「倩女幽魂(チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)」や同じく「画皮(がひ)」も何度も制作され、世代を超えて多くの人たちに楽しまれています。
番組の中でお送りした曲
1曲目 鬼新娘(鬼の花嫁)
この歌は1985年に大ヒットした香港映画「僵尸先生(霊幻道士)」のオープニング曲で、香港傑児児童合唱団が歌ったものです。美しい女の幽霊と人間との悲しく美しい恋を歌い上げました。
2曲目 鬼(おに)
この歌は歌手・梁博が中元節のために作りました。歌は悲しくロマンチックなメロディーで、心の中にいる違う鬼への愛を歌っています。
歌詞:
君は鬼 夜風になって僕の心を迷わす
君のために僕は朝も夜も忘れて
君の冷たくも暖かい懐に
僕はぐっすり眠りこむ
3曲目 倩女幽魂(チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)
この歌は映画「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」のテーマソングで、香港の名歌手レスリー・チャンが歌っています。
歌詞
人生の道よ
甘い夢は遠くはかない
行く手を遮る様々な困難
世間にどれほどの夢があろうとも
夢の中の純愛を一途に求める
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