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民国時代の北京を訪れる

2016-01-05 17:17:49     cri    


ナビゲーター 黄競

 今年、2015年は故宮博物館の公開が始まってから90周年の年です。故宮(紫禁城)は皇帝の住まいとして建てられました。1912年2月12日、清朝最後の皇帝・当時わずか6歳の愛新覚羅・溥儀が「退位の詔書」をここ故宮で発表しました。これは300年近く続いた中国最後の王朝・清が滅んだことを表します。

 同年1月に中華民国が生まれ、新しい時代を迎えました。この時期、北京は新しい民国政権と古い清王朝が交代する重要な舞台になり、清の没落貴族や、民国政府の高官、それに新文化運動の代表として、進歩的な思想を持つ学生達がこの激変する舞台に上がりました。今回の中国メロディーは民国時代の北京の文化を楽しみましょう。

伝統文化と現代文明を融合できる古都

 「北京は理想的な都市で、誰もが呼吸できる場所だ。北京は豪快で、寛大だ。新しいものも古いものも包み込み、それによって少しも動揺しない」これは民国時代の文学者・林語堂の言った言葉です。彼が言うとおり、3000年の歴史を持つ北京は、伝統文化と現代文明をうまく融合できる古都です。1910年代、中華民国成立初期、「民主」と「科学」を唱える新文化運動や五四愛国運動が北京で始まり、すさまじい勢いで中国各地に広まりました。一方、没落していく清の貴族たちもその輝かしい過去を記した歴史の舞台から降りることをためらいました。清の時代の辮髪を残し、鳥籠を手に持ち、あちこち歩き回る姿は民国時代、没落貴族のシンボルとなりました。

 芝居小屋で梅蘭芳といった京劇の名優の公演を楽しむことも貴族の品位と見なされ、清朝復活のクーデターを起こした没落貴族の代表・張勋も当時、京劇ファンとして知られていました。民国時代の北京は、新しいものも古いものも包容できる都市でした。

風雲児が輝かしく登場する舞台

 民国時代、北京はいろいろな風雲児を引き付け、中国最後の皇帝・溥儀から東北軍司令官・張学良、有名な思想家・梁啓超から五四運動の指導者・陳独秀までもが民国時代の北京という舞台に輝かしく登場しました。

 民国時代、北京で最も高級なホテル・六国飯店は政府高官や外国の公使などが集まる社交の場で、多くの重要な歴史事件がこの舞台に関わったと言われます。

 当時、戦乱により社会が不安定でしたが、公使館の区域内に位置する六国飯店は天下太平の様子でした。社交ダンスもここから流行り始めたとのことです。

 1928年、日本側のスパイ・川島芳子はこのホテルのダンスパーティーで東北地方の軍閥政治家・張作霖の副官に話しかけ、張作霖が自らの根拠地奉天へ戻る列車の時刻を聞き出しました。日本の関東軍はこの情報を得た後、皇姑屯駅で張作霖を爆殺しました。当時、六国飯店の社交舞台では、このような歴史を変えるほどの「演劇」がよく上演されました。

文人たちの心の故郷

 民国時代、北京は中国の重要な政治の場であっただけでなく、魯迅、林語堂、郁達夫など文人にとっての心の故郷でした。これらの文人と比べ、北京生まれの名作家・老舎の故郷・北京への思いは身体の隅々まで染み込んでいました。「私が愛する北京は、私の心と繋がるその歴史であり、いくつ名所旧跡があるかは数えきれない。雨上がりの什刹海から夢の中の玉泉山の塔の影まで、すべての小さな場所の中に私がいて、私のすべての思いの中に北京がある。ただ、言葉で言い表すことはできない」これは老舎が1936年に書いた散文「想北平(民国時代の北京を思う)」の一部です。

 また、同じく老舎が1944年に発表した長篇小説「四世同堂」は抗日戦争中、日本軍占領下の故郷が無残に寂れるのを北京の庶民が見て、愛国心と民族意識に目覚め、抵抗し立ち上がる不屈の精神を描きました。作品からは老舎の故郷・北京への深い愛情がしみじみと感じられます。

番組の中でお送りした曲

1曲目~什刹海的早晨(シーチャーハイの早朝)

 この曲は二胡の独奏曲です。什刹海は北京の観光名所で、北京発祥の地と呼ばれ、周りには京劇の名優・梅蘭芳の旧居など多くの文化財や遺跡が集まっています。二胡の抑揚ある音色から北京の悠久の歴史と輝かしい文化を味わいましょう。

2曲目~暗香(香り)

 この歌は民国時代の上流社会の生活ぶりを描く小説「金粉世家(華の家族)」をアレンジしたテレビドラマの主題歌です。歌は、民国時代に自由恋愛を求める男女の主人公が、家柄の違いゆえに、別れざるを得ない苦しい気持ちを歌い上げました。

 歌詞

 花びらが舞い落ちて、香りが残る

 風と雨が過ぎ、香りのなくなった花を誰も見に来ない

 もし、愛が続いていくならば

 それが尽きるまで進んでいきたい

3曲目~重整河山待後生(祖国の復興を若い世代に託す)

 この歌は老舎の長篇小説「四世同堂」を元にアレンジした同名のテレビドラマの主題歌です。中国北方演芸の代表的なジャンルである京韻大鼓の重鎮・骆玉笙が70歳の高齢で歌ったものです。

 歌詞

 千里には刀が光り

 町の中に恨みの火が燃える

 月は丸くなるが家族団欒はまだ遠い

 花が咲く土地に平和はまだこない

 戦場に行って雪辱を果たそう

 祖国の復興を若い世代に託す

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