江 南 の 初 冬
ナビゲーター 黄競
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12月7日は二十四節気の一つ 大雪( たいせつ )です。日、一日と寒さが加わる今日このごろ、いよいよ本物の冬将軍の到来が感じられます。さて、今回の中国メロディーは引き続き冬をテーマにし、中国江南地方の冬にまつわる風俗習慣と音楽をご紹介しましょう。
水郷の冬の情緒
中国の揚子江以南の江南地方は昔から物産が豊かで、風光明媚な土地として知られています。江南地方は毎年12月上旬から冬に入りますが、この季節には眩しかった日差しが柔らかくなり、草花は静かに目を閉じます。古風な石橋、小川の川辺に茂る白い蘆の花や鮮やかなナンキンハゼの葉を眺めると、江南水郷の冬の落ち着いた雰囲気を感じられます。また、元の時代の漢詩「秋思」は江南水郷の秋と冬の寂しい風情を巧みに表現しています。特に「枯藤老樹昏鴉,小橋の流水人家。(枯藤の老樹昏(くれ)の鴉、小橋の流水人家)」という数句は特に有名です。
冬至の夜の一家団欒
中国の江南地方では、二十四節気の一つ・冬至は大切な祝日で、 冬の節句と言われています。日本では冬至といえば、かぼちゃと柚子湯ですが、中国江南地方では餡の入ったもち団子「湯圓」、甘酒のような「醪糟」それにあずきご飯「紅豆飯」を食べる習慣があります。また、この日は家族団欒で過ごすという風習もあります。冬至の夜、暖かい灯りの下で一家で食卓を囲み美味しい料理を食べたり、和気あいあいとおしゃべりしたりすれば、ストーブの熱気が冬の寒さを外に追い出して、部屋の中は温かい家族愛に満ちていきます。
雪 中 観 梅
江南地方は昔から多くの文人が集まるところで、洗練された文化が育まれました。また、江南地方の知識人には書斎の机の上に盆栽や生花、季節の果物などを飾る慣わしがあります。これは「清供」と呼ばれ、文人たちは「清供」から四季折々の自然の情景を感じていたそうです。例えば冬には、水仙や梅の花などが江南文人の書斎に不可欠な「清供」となります。また、雪が降った後に凛と咲く梅の花を求めて、あちこちを尋ねることは江南文人の冬の高尚な趣味と讃えられました。
美しい断橋残雪
江南地方の冬の美しい景色といえば、いつも「断橋残雪」が取り上げられます。断橋は江南地方の名勝地・西湖の雪景色を堪能できる最高の場所です。雪が降った後、橋の陽の当たる部分の雪は融けますが、陽が当たらない部分の雪は残るので、高いところから見ると橋が途切れているように見えるのです。このため、「断橋」という名前がつけられました。また、断橋は中国の民間物語「白蛇伝」にも登場します。書生の許仙はこの断橋でヒロインの白娘子に出会い、壮絶な恋の物語が始まりました。断橋はこの美しい伝説の舞台として、とてもロマンチックで有名な橋なのです。
番組の中でお送りしたのは
1曲目 夢里水郷(夢の中の江南水郷)
歌手・チャン・シャンが故郷・江南水郷への思いを唄いました。
歌詞
その思いは顔を見れば解る
別れは背中に背負い
青い山が水の中に映り
霞が夕日に美しく染められる。
振り返ればあなたの笑顔
胸の想いをあなたは知っているでしょう
夢の中の幸せは私の傍にある。
2曲目 姑蘇好風光(蘇州の美しい風光)
蘇州は春秋時代に都が置かれたときから、この世の天国(人間天堂)と称されるほど、江南の主要都市として繁栄していました。
「蘇州の美しい風光」は蘇州の伝統芸能「評弾」の一曲です。評弾は蘇州や杭州など江南地方に伝わる三弦、琵琶(びわ)を主な楽器とする弾き語りです。1人、または2、3人の蘇州の方言の掛け合いで演じられます。
歌詞:
天に極楽有り、
その下に蘇州と杭州がある
杭州には西湖があり、
蘇州には山塘がある。
どちらも共に美しきところ
どちらも共に美しきところ
3曲目 踏雪尋梅(雪の中で梅の花を探す)
晴れた日に子供たちが雪の中で梅の花を楽しむ場面を描いています。
歌詞
雪が降った後の晴れた日に
梅の花の香りが遠くから漂ってきた。
ロバに乗って橋を渡り、
雪の中の梅の花を探そう
リンダンリンダンリン、
リンダンリンダンリン、
美しい花を摘んで書斎に戻り、
読書のお伴にしよう
4曲目 断橋残雪
西湖の最も有名な冬景観を描きました。
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