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タン・ドゥンの音楽世界(前編)

2016-01-05 17:17:51     cri    


ナビゲーター 黄競

 10月、北京でNHK交響楽団のコンサートがありました。その指揮をしたのがタン・ドゥンです。彼は現代中国を代表する作曲家、指揮者、そして2000年には「グリーン・デスティニー」の映画音楽の作曲でアカデミー賞を受賞しています。非凡な想像力と創造力に溢れる彼の音楽。その素晴らしい力は何所から生まれたのでしょうか?今回の中国メロディーはタン・ドゥンの音楽と一緒に、彼の音楽世界をのぞいてみましょう。

祈祷師に憧れた少年時代

 タン・ドゥンは幼い頃、祖母と湖南省農村で暮していました。湖南省の想像力に富む文化は生まれつき縦横無尽な才能を持つ彼に想像力の翼を与えました。そして、この地の豊富な民間音楽が、天才音楽家の揺り籠となったのです。

 

 この頃のタン・ドゥンの夢は、将来素晴らしい祈祷師になることでした。祈祷師の多くの人が集う冠婚葬祭で美しい歌声で代々伝わる民謡を歌う姿や、様々な伝統的な民族楽器を演奏したりする姿は、まさに万能な音楽家のようにみ得ました。この出来ないことはない祈祷師は、彼にとってまるでカラヤンや小沢征爾のような偉大な存在でした。

夢はより大きく

 文化大革命の最中の1973年、中学生のタン・ドゥンも湖南省の農村で農業労働に参加しました。ある日、田植えをしていた時、スピーカーからフィラデルフィア交響楽団によるベートーベンの『運命交響曲』が流れてきました。当時、初めて交響曲を聞いた彼は「交響曲は何と美しいのか、僕は交響曲を学んで、中国のベートーベンになりたい」という夢が胸の中に膨らんでいきました。

 そして1978年、「万に一つ」という狭き門をくぐり抜け21歳のタン・ドゥンは音楽大学の入学試験に合格しました。こうして、この祈祷師になりたかった少年は、自分のより大きな音楽の夢へと一歩一歩近付いていきました。

夢が現実となる

 中国の名門大学・中央音楽学院で学んだ期間、タン・ドゥンは中央音楽学院の「四大才子(四大エリート)」の一人と称えられました。1986年、タン・ドゥンは中央音楽学院の大学院を卒業し、アメリカコロンビア大学に入りました。

 博士号を取得したばかりのタン・ドゥンは、初めて楽団の指揮の契約要請を手に入れました。運命は本当に不思議で、その楽団とは、フィラデルフィア交響楽団です。20数年前、湖南省の農村で田植えをしていた少年は夢の中でも追い求めていたフィラデルフィア交響楽団の指揮台に立つことになったのです。

番組の中でお送りした曲

1曲目~ 卧虎藏龙(グリーン・デスティニー)

 2000年に作曲した映画「グリーン・デスティニー」の挿入曲です。この映画の音楽を作曲し、アカデミー賞を受賞したことによって、タン・ドゥンの素晴しい音楽の才能が世界に知られるようになりました。映画の中で世界的チェリストのヨーヨー・マが演奏したこの曲は、神秘的な東洋音楽の魅力に溢れ、絵巻物のような美しい映像とあいまって不思議な武俠世界を描きました。

2曲目~ 月光愛人(月光の恋人)

 映画「グリーン・デスティニー」の主題歌です。タン・ドゥンが作曲し、名歌手・ココ・リーが歌ったこの主題歌はアカデミー賞のオリジナル主題歌賞を受賞し、アカデミー賞の授賞式でも披露されたことで世界的に大ヒットしました。

歌詞:

 私は眼覚める 月光の下の眠りから

 三日月が 私にあなたを思わせる

 誰が知っているのか

 目を開けた時、あなたがいないことに気づくのが怖いの

 愛する心は私を連れて 海に沈む

3曲目~ 丝绸之路(シルクロード)

 映画「グリーン・デスティニー」のもう一曲挿入曲です。この曲は神秘的な中華メロディとアレンジで大ヒットしました。

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