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No.023 キーワードチャイナ 大学に関連する言葉あれこれ

2018-03-28 09:51:06     cri    


大学に関連する言葉あれこれ(一)

 日本ではそろそろ新学期・新学年が始まりますね。中国では、新しい学年が9月から始まることから、日本のように桜を連想したりすることもなく、ちょっと雰囲気に欠けるところがあります。また、違いといえば、日本の大学は国立、県立、市立、私立などの違いがありますが、中国では大学のほとんどが国公立で、「民办大学」と呼ばれる私立大学は数えるほどしかありません。これは病院業界でも似通った現象があり、中日における病院の公立・私立における比率が逆転している点からも、同様の構図を看取することができます。

 中国の大学について話をすると、学校のクラスを表す一本、二本や、格付け用語の「985」、「211」など、日本人にはわけのわからない数字が頻出します。

 そこで、今回と次回は2回にわたって、この各種格付けを中心に、大学教育と関係のある言葉を一部ご紹介していきたいと思います。

【一本】(yīběn)[名]Aランク大学.

 大学の学部教育の中で、「高考」(「普通高等学校招生全国统一考试(一般大学入学全国統一試験)」)でもっとも早く合格判定と入学者の決定をする大学のことを指した言葉です。また、「一本」の学校は一般に合格ラインも比較的高めになります。

 また、「一本」にはいくつかのグループがあり、そこでもランクが分かれてきます(中には所属グループが重複する大学もあります)。

【985工程】(jiǔ-bā-wǔ gōngchéng)[固]985プロジェクト.

 1998年5月4日、北京大学の設立100年を記念する式典で、当時の国家主席江沢民氏が「近代化を実現するために、中国に世界でも一流に数えられる大学を築かなければならない」と強調しました。その提唱のもとで、教育省は『21世紀に向けた教育振興アクションプラン』を制定、北京大学や清華大学など、一部の大学を世界でも一流の大学へと育てていくことをサポートするプロジェクトを立ち上げました。

 そして、そのきっかけとなった98年5月にちなんで「985工程」と名づけたのです。当初、このプロジェクトに組み込まれた大学は北京大学と清華大学しかなかったのですが、後に7校を追加、9つの大学をまとめてC9(九校联盟)という大学リーグまで立ち上げました。その後、「985工程」の範囲はさらに拡大され、今では更に30の大学が加えられています。

【211工程】(èr-yāo-yāo gōngchéng)[固]211プロジェクト.

 「211工程」は「985工程」より早く計画されたグルーピングです。

 1990年、国家教育委員会(当時)が「全国教育事業10年計画」と「第8期五ヵ年計画」を制定した際、21世紀に向け、2000年前後に100の重点大学を育てることを計画しました。これを当時、「211计划」と呼びましたが、後に「211工程」に名称変更されました。

 また、このプロジェクトには合計113大学が選ばれています。ちなみに、上掲の「985」大学には、1996年から2005年までの間に「211工程」に選ばれた大学からしか入ることができません。そして、2011年の時点で、もう締め切りだという宣言が出され、これ以上増えることがないことからも、この二つのグループに入った大学には受験生が殺到しています。

【双一流】(shuāng yīliú)[固]ダブル1流.

 2017年1月、教育部、財政部、国家発展と改革委員会が合同で策定した『世界における一流大学と一流教科の建設の実施方法(暫定)』は、国務院の承認を受け、同9月に公表されました。この物々しい計画には、全部で42校と95教科が組み入れられています(が、ここでは全部掲載する事はできませんので、ご興味のある方は、是非ネットで検索していただければと思います)。

 さて、この985、211、「双一流」のプロジェクトに入った大学と、各省の重点大学や中西部の大学、香港・マカオの大学などが「一本」に含まれることになります。そこから類推すると、「二本」や「三本」というのは第2陣、第3陣とゆっくり学生をとる大学になり、合格ラインも低くなっていくということが想像できます。

 ちなみに、「二本」は国と省の管轄から漏れた大学で、「三本」は「民办」と呼ばれ、公立ではない大学や独立した単科大学などになります。最近では「三本」は「二本」に統合され、言い方自体がなくなっています。そして、今後は「二本」の言い方もなくなるといわれています。

【大专】(dàzhuān)[名]高等職業学校;短大、専門学校.

 職業技能などをコアカリキュラムとして教える、二年から三年制の高等職業学校を指す言葉です。

 これらの学校も、上掲の一本・二本のように、これまでは国家模範校と非模範校という順番で合格発表するというシステムをとっていましたが、今後は統一されていくようです。日本では、短大、専門学校という位置付けに相当する存在です。

 さて、中国の場合、大学に出願する際には、まず統一試験を受け、その点数が出てから願書を書くと言う順序になります。中国の願書は日本と様式がかなり異なり、まず、芸術・スポーツ関連の大学、早期採用大学(師範、軍隊、公安)、「一本」、「二本」という4つの大きな枠が設けられており、それぞれに志望校を書き込んで行きます。また、「一本」には4校、「二本」には6校、更にそれぞれの大学で6つの専攻を志望することができるようになっています。そして、さらに、6つの専攻が全部だめだったら、ほかの専攻に割り振られてもよいか否かを明記すると言うオプションが存在します。

 この「他の専攻に回される」のは、「调剂(志願調整)」と呼ばれる制度で、一定以上の学力を持ちながらも第一志望に合格できなかった人への救済措置であると同時に、各専攻の人数を平均化する措置です。現実に沢山の学生がこの制度を利用しており、教育の現場にはかなりの数の「入りたかった専攻じゃないんです」と言う学生が存在します。

 なお、2020年から大学入試改革を行う予定が発表されています。この改革の内容によっては、大学の出願や受け方に大きな変更が出るかもしれません。

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