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年末特別シリーズ(二)
インターネットでよく使われる流行語
今年取り上げた新語の中から、利用頻度や影響力、生命力の強いものを再度取り上げます。
【键盘侠】(jiànpán xiá)[名]ネット弁慶
現実世界では臆病で話すことが苦手なのに、ネットでは正義感を振りかざして大暴れする人を指します。普段は人と上手く付き合うことができないのですが、一人になって、パソコンあるいはスマホに向かうと、別人のように話が弾むようになり、(人や社会事情などを)あれこれと評論したり、説教する人のことを言います。
「键盘侠」の特徴としては、ネット上で自分の正義感や絶対的な倫理観をひけらかそうとする点があります。人間の個性というのは、相手の顔の見えないところでは、膨張してしまうもののようです。
また、コミュニケーション能力が足りないため、過激な話をしがちなのも特徴です。特定の何かに反対するわけでなく、個人の価値観だけで世界のできごとを判断しますので、社会的に正しいこともあるのですが、自分自身の限界を超えてしまったりすると、本来の目的を忘れるだけでなく、他人に利用され、サイバー犯罪の加害者になることすらあります。
[ひとこと]
ネットサーフィンをする際、何かの話題が盛り上がっても、実際に経験のある場合を除いて、評論には慎重さが必要な時代になっています。とくに最近の場合、何か事件が起こったり、問題発言がなされた場合も、数日後にまったく逆の事実が掘り出されることがあります。そうした時に、一番盛り上がっているときにヘタな発言をしていると、周りに足を掬われかねません。
【网络暴力】(wǎngluò bàolì)[名]サイバー暴力
文字通りインターネット上のいじめおよび嫌がらせです。
インターネットが普及するにつれて、この「网络暴力」=サイバー暴力は世界中で問題になっているだけでなく、悪質な事件に発展する事例が相次いでいます。対策としてインターネットの法規制・フィルタリング規制を実施する国や地方自治体も出てきていますが、根本は人間そのものの問題ですから、規制にも問題を根絶する力はないようです。
[ひとこと]
中国では先頃、中韓混成のアイドルユニットEXOの元メンバーの鹿晗(ルーハン)が「网络暴力」を受け、なんとその話題が大学入試の試験問題にもなりました。
【标题党】(biāotídǎng)[名]タイトル詐欺(師)
「标题」はタイトル、見出し、「党」はここで同じ事をやる、同じ趣味を持っている、同じような性質を持っている人のことを意味しています。「極めて集客力のあるタイトルのついたスレッド」を指した言葉です。
[ひとこと]
人々のネットの世界での振る舞いは、中国も日本も変わらないようです。本当にクリックしたくなる記事というのは多いものですが、実際にクリックすると全然違う中身であることがよくあります。いわばタイトル詐欺です。人を指すときはタイトル詐欺師とでも呼ぶべきでしょうか。
【神回复】(shén huífù)[名]神レス
絶妙な回答。
日本でも「神レス」としてそのまま使われています。想像の範囲を超えて、まったく勘違いしたような角度からいきなり出てきつつ、かつ答えとして成立しているレスポンスがよくあります。質問した人も、他の回答者も気付かなかったコメント、ちょっとした一言ながら、才能を感じるコメントというような意味も含まれます。
例えば「眠れない時、何を考えているの」に対して、「眠りたい」との答えは「神回复」になります。
[エピソード]
中央電視台の番組から飛び出した、中国全土から反響のあった神レスを例にしてみましょう。街角インタビューに出たリポーターの「你幸福么?(幸せですか)」との問いに、街角のおじさんが出した答えは「我姓曾(私は曾です)」。幸せの「幸」の字を、同音で苗字を意味する「姓」の字に理解したことで、「幸せですか?」が「あなたはフクさんですか?」という全く同音のセンテンスになり、「(いいえ、)曾です」という答えになったものです。回答した男性のあまりにもぶっきらぼうな態度と、絶妙すぎる回答に、全国の視聴者が湧きました。
【阿婆主】(āpózhǔ)[名]アップ主
「阿婆」は普通「おばあちゃん」ですが、ここでは英語upの音訳で、「阿婆主」として、日本語で言うup主(アップぬし、ウプぬし、うぴーぬし)の意味になります。インターネットで画像や動画、音声ファイルなどのデータを、掲示板・動画共有サイトなどに投稿した人のことを指します。つまり「アップロード(Upload)されたデータ(動画)の主」ということになります。
この言葉は日本から伝わってきたもので、国内のACGN(アニメ、漫画、ゲーム、小説)サイトでよく使われています。ここでのポイントは、「阿婆主」イコール製作者ではなく、リツイートする人も「阿婆主」であることです。
最近では他人のものを転載するだけではなく、オリジナル作品の製作者としての「阿婆主」が多くなってきて、中にはカリスマ的な存在の人もいるようです。
[ひとこと]
中国はイノベーションの試験田と言われるだけあって、様々な新しいものが生まれています。その端緒はこうした日常使用される言葉に如実に現れます。特に若者はインターネットから海外、特に日本の情報を仕入れるため、一部の漢字をヒントに、新しい中国語の表現を作り出すこともしばしばです。
また、コンテンツも少しずつオリジナリティを帯びてきており、時には全く無名な個人が驚くような作品をアップするケースもみられる様になりました。こうした些細な現象からも、中国の時代と人材の層の変化を見て取ることができますね。
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