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「春思」賈至

2017-03-15 14:31:21     cri    


 三月の声を聞くと、外の天気と関係なく春だなぁと思ってしまいます。用心深い北京の人たちは、まだ厚手のコート姿の人も多く、皆が春の装いになっている訳ではありませんが、それでも地下鉄内をみまわすと1ヶ月前よりは軽装の人が目立って来ました。そんな、姿を見て自分自身もそろそろ長いコートから、少し短めのコートにしようかと思ったりします。長いコート、手袋、マフラー。少し前までは出掛ける時の必需品でした。よくみると汚れも目立ってきました。「一冬、ありがとう」と思わず、声をかけたくなります。冬と夏が長い北京。春服の期間は短いので、早めに着始めないと出番が少なくなってしまいます。今度の週末は、春の服を出してみましょう。そういえば、今度の日曜日は「啓蟄」。虫たちもいよいよ地面から這い出してくる頃です。さて、今日は暦の上ではちょうど今頃の様子を詩にした、賈至の「春思」を紹介します。

 作者、賈至は盛唐の詩人。河南省洛陽の人。若くして進士になったエリートです。安禄山の乱では、玄宗に従って蜀へ避難しました。その後、現在の湖南省岳陽市あたりに左遷され、ここで李白と出会い共に酒を楽しんだようです。しかし、後に都に召喚され、出世したようです。今日紹介した作品は、「春思」という連作のうちの1つです。「春思」、春の思い。「秋思」と言う言葉はよく聞きますが、春の思いは、新鮮です。前半は緑の草、黄金色の柳、ピンクの桃の花、スモモの香りとウキウキ感溢れる春の景色の描写です。それが、後半になるとでは、作者の心中を映し出しているのでしょうか、なんだか寂しさが漂います。「歴乱」は、花が咲き乱れる意味。「東風」は、もちろん春風のことです。「恨み惹いて」は、恨みを引き起こすと言う意味ですが、ここで言う恨みは、人に対する気持ちではなく悔やんだり、後悔する気持ちです。タイトルの「春思」、最初は春が来てウキウキした気持ちを言うのかと思っていましたが、そうでもなさそうです。確かに周りがウキウキしてくると逆に冷静になって落ち込んでしまう。詩人とはそんな人なのかもしれませんね。

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