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「冬夜書を読む」菅茶山

2016-12-07 11:09:37     cri    


 今日は二十四節気の「大雪」。雪が大いに降るころと言う意味です。北京では、大雪が降ることは少ないのですが、暦どおり屋外は深々とした寒さになって来ました。日中でも空気が冷たくなってきて屋外での活動もそろそろ限界が近づいて来ている感じがします。北京の公園には、ほとんどと言っていいくらい池がありますが、厚い氷が張る前に水を抜いて掃除をしているところも多いようです。だんだんと公園の表情が変わってきているようです。一方室内は、どこも集中暖房がしっかり効いていて、屋外とは対照的です。こうなると室内で過す時間が増え、本でも読もうかという気持ちになりますね。北京は、これからが読書の季節かもしれません。さて、今日は菅茶山(かんさざん)の「冬夜書を読む」を紹介します。

 作者、菅茶山は江戸時代後期の漢詩人。通称を太仲(たいちゅう)と称し茶山(さざん又は ちゃざん)は号。現在の広島県に生まれ、京都で学び、故郷に帰り塾を開きました。田園を詠った詩が有名で、弟子も多かったようです。当時の人としては長生きで80歳でこの世を去りました。タイトルの「冬夜書を読む」が印象的です。書を読む、つまり読書と言えば、「秋」というイメージでしたが、これは冬の夜の読書です。「山堂」は山の中の住まいのこと。「擁して」は、とりかこんでと言う意味です。「檐鈴」は軒につるした風鈴です。夏なら風鈴と聞くと涼やかですが、冬の風鈴は冷たさを強調するようです。その風鈴も鳴らず、夜は「沈沈」と言っています。これは、夜が静かに更けゆていく様子です。雪の夜は確かに静かです。「乱帙」の「帙」は書物を包む袋のようなものですから、ここでは、書物が散乱していて、それを片付けているようです。「疑義」は、疑わしい意味、読書をしていて疑問に思う箇所があったのでしょう。「一穗」1つの穂ですが、灯火の灯りの形が稲穂の先に似ているので、灯火のことをこういいます。秋の読書には月夜が似合う気がしますが、冬の読書にはしんしんと降る雪の夜が似合うのかもしれません。外の景色の描写から、心の描写に移って行き、最後は一穂の一と万古の万を対にして終わらせる。作者は日本人ですが、漢詩の名人といわれる所以です。

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