会員登録

「桂花美人に題す」高啓

2016-11-23 09:50:40     cri    


 日本の11月は前半に文化の日、後半に勤労感謝の日があって秋の行楽シーズン真っ只中でしょうか。文化の日が「菊薫る」と形容されますが、ならば勤労感謝の日は「金木犀香る」と言った感じです。日本の我が家には小さな庭に金木犀の木があって、秋になると甘い香りを漂わせ季節の移り変わりを教えてくれます。遠く離れていても自宅の庭の景色を思い出すと、どこからともなく甘い金木犀の香りが漂ってくるようです。金木犀の香りは、それだけ印象深いものです。北京では、あちこちの公園で冬の支度が始まっています。10月上旬の国慶節から目を楽しませてくれた黄色い菊や紅いサルビアが枯れる前に抜かれています。街から色が無くなっていくようで寂しいのですが、抜いた花は公園に来ている市民に配られ、受け取った人は根に泥の着いた花の束を手にして嬉しそうな笑顔を浮かべていて癒されます。さて、今日は高啓の「桂花美人に題す」を紹介します。

 作者、高啓は元末明初の詩人。江蘇省長州(現・蘇州)の人。唐宋の時代の格調高い詩風を保つ、明の最高の詩人とも言われています。39歳の時に謀叛の罪に連座して処刑されてしまいます。タイトルの「桂花美人に題す」の「題す」は、というテーマの詩を作ると言う意味です。桂の花と書く「桂花」は金木犀の花です。「桂」は日本語では、樹木の名前ですが、中国語では金木犀を指します。船下りで有名な桂林は、金木犀が林のようになっていると言う意味です。桂林の今頃は、町中が金木犀の甘い香りに包まれています。「霓裳」は玄宗皇帝が月で遊んだ時、天女たちが舞い踊る有様を曲にしたと云われる『霓裳羽衣曲』のことで、天女が舞う曲、調べのこと。「醺す」は、酒に酔うことですが、半ばとなっていますから泥酔ではなくほろ酔いでしょう。「羅衣」の「羅」は薄絹のことです。「熏する」とは、香を焚くことですが、金木犀の香りがとてもよいので、その必要はないと言っています。金木犀の香りに包まれて、月の光の下、美しい音楽を聞きながらお酒を飲む。そして、薄絹の衣まで登場して、目、耳、舌、鼻、皮膚と五感で秋の夜を楽しんでいる訳です。まさに雅なひと時を切り取ってた詩です。

関連ニュース
写真トピックス
コメント
今週の番組
今日熱点
快楽学唱中文歌
特集ダイジェスト
LINKS