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「謝亭送別」許渾

2016-11-18 15:54:29     cri    


 11月中旬は日本なら秋たけなわ。北京は集中暖房も始まり、冬の準備完了。冬の足音がはっきりと聞こえてくる時期になりました。朝早く屋外を走ることが出来なくなったり、暖かい所で生まれ育った私は寒さに弱いのですが、冬には冬の楽しみもあります。冬本番が近づいて美味しくなる物。鍋物が一番に思い浮かぶかもしれませんね。街角の市場に並ぶ果物では柑橘類も旬を迎えます。夏の間の大きな西瓜やハミメロンに較べれば小さいのですが、この時期、存在感を示しているのは私の大好きな柚子。漢字では柚子と書く、日本で言うところのザボンです。皮を剥くのが大変なのですが、皮を剥く時に漂う柑橘の香り。なんだか南国の雰囲気があって大好きです。その季節、季節でそれぞれに美味しいものが楽しめる。中国中から果物が集まる首都、北京の魅力の1つかもしれません。さて、今日は許渾の「謝亭送別」を紹介します。

 作者、許渾は晩唐の詩人。丹陽(現在の江蘇省丹陽市)の人。進士に及第後、役人になりますが病弱なため免職され、晩年は引退し故郷に引きこもりました。今回紹介した詩は、謝亭というところで、友人を送る詩です。タイトルにある「謝亭」は安徽省の東南部に位置する宣城市の北側にある謝公亭とも呼ばれる建物です。李白も『謝公亭』というタイトルで詩を作っています。後に送別の場所としても有名になっています。「労歌」とは、南京付近の労労亭での歌のことで、送別の歌を表します。「行舟を解けば」とありますが、解くのは船と岸を繋いでいる纜。激しく流れる川を友人を乗せた舟は下って行ったのでしょう。別れの酒に酔い、日が暮れて酔いがさめた頃には、友人の舟はもう遠い。空いっぱいの風と雨、は実際の天気かも知れませんが、旅立って行った友人の運命を暗示しているのかもしれません。最後に「西楼を下る」とある「西楼」は「謝亭」のことです。送別の宴を開いた時は、お酒を一緒に飲む友人もいたのに今は、一人謝亭を後にするわけです。紅葉と青い山、流れる水。友人と見れば心癒される景色かもしれませんが、一人見れば、何とももの寂しい景色なのでしょうね。

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