会員登録

「山行」杜牧

2016-11-09 11:30:22     cri    


 暦の上では、立冬を過ぎ「冬」になりました。今年は、10月下旬に厳しい寒波が北京を襲い、最低気温が氷点下になるなど暦よりも早く「冬」を実感しました。逆に、ここに来て少し厳しい寒さは緩んだようですが、日が沈むのがめっきり早くなり、やはり季節の移り変わりを感じます。冬を感じながらも、街中の街路樹の紅葉は今が見頃です。黄色く色づいた銀杏が北京の紅葉の主役です。少しずつ葉を落とし始めているとこもあり、足元に黄色い絨毯を敷いたような場所もあります。この葉が全て落ちきると北京は本格的な冬を迎えることになります。そんな冬本番になる前に、この人も紅葉狩りを楽しんだのでしょうか。今日は杜牧の「山行」を紹介します。

 作者、杜牧は晩唐の詩人。長安の名門の家に生まれます。しかし、当時すでに衰退が始まっていました。杜牧自身は25歳で進士に及第し役人になります。出世とは縁がなかったようですが、非常に分かりやすい詩を作り人々から愛されました。日本でも江戸時代以来、愛唱されました。今日紹介した「山行」は秋の風情を詠っていますが、一番有名なのは、江南地方の春の様子を色鮮やかに詠った「江南の春」でしょう。タイトルの「山行」は、山歩きのことです。ちょうど今頃、秋と冬の季節が交差する頃の山の景色が目に浮かぶ作品です。「寒山」は寒々とした山。「石径」は石の多い小道で、「白雲」は、実際に霧のかかったような雲であり、仙人等がいる世界のことも表しているのかもしれません。「楓林」は、文字通り楓の林。この時期ですから、見事に紅く紅葉しているのでしょう。紅い葉は、夕日に染まって、更に紅くなっているようです。「霜葉」は霜が降りた葉。霜が降りた葉と聞くと、なんだかもの寂しいのですが、二月の花より紅なりと言って、詩を結んでいます。「二月の花」、旧暦ですから今の三月の花、桃の花のことです。霜に打たれた紅い葉を桃の花より紅い、つまりきれいだと言っています。情景がくっきり目に浮かぶ分かりやすい詩でありながら、奥が深いように感じます。

関連ニュース
写真トピックス
コメント
今週の番組
今日熱点
快楽学唱中文歌
特集ダイジェスト
LINKS