hanshi1026
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先週の北京は雨続きでした。夏の雨と違い、ザットではなくしとしと降る感じです。そして、一雨ごとに纏っていたものが剥がされるように寒さを感じる頃になりました。公園を走る人の姿も、めっきり減り、少し寂しい感じです。少し前までは顔見知りのランナーが何人かいたのですが。もっとも、最近は朝、なかなか明るくならないので私が走りに行く時間も遅くなっています。向こうは向こうで私のことを「いつもの日本人、見かけないなぁ」と思っているかも知れませんね。さて、今日はこんな季節に美味しくなるお酒をテーマにした陶淵明の「飲酒 其の七」を紹介します。
作者、陶淵明は東晋、宋の詩人。役人生活を嫌って職を辞し、故郷に帰って自適の生活を送りました。こんな経歴から、田園や反骨が似合う詩人です。また、酒を愛したことから、酒を歌った詩人としては、李白と双璧を成すのではないでしょうか。この陶淵明が酒と共に愛したのが菊の花と言われています。彼の作品の中でも「飲酒」はとりわけ有名です。これは20首の連作で、其の中の「悠然として南山を見る」で始まる、其の五がよく知られていて、以前紹介してこともあります。今日紹介した詩は、七首目です。この20首の作られた時期は諸説ありますが、一気に書いたものではなく折に触れて書き、後に連作としてまとめたのではないでしょうか。今日の作品には菊の花が歌われていますので、ちょうど今頃でしょうか。「忘憂の物」は憂いを忘れさせてくれるもの、つまりお酒のことです。お酒に菊の花びらを浮かべて飲むのは、中国古来の慣習だったのです。「一觴」の「觴」は杯のこと。一人でちびちび飲んでいても、いつの間にかお酒の壷が空っぽになって、傾いてしまう。いかにも酒好きの陶淵明らしさに溢れています。そして、思いのままに歌ってみる。彼にとってお酒は、ストレス発散の飲み物だったのでしょうね。
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