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「送人還京(人の京に還るを送る)」岑参

2016-10-15 09:52:15     cri    


 暦の上では「寒露」を過ぎました。露が冷たく感じられる時期ということです。確かに国慶節の大型連休も終わり、北京は涼しいというよりも寒さを感じる頃になりました。あと1ヶ月ほどすると北京では集中暖房が始まります。この集中暖房は驚くほど暖かくなるので、暖房が始まるまでのちょうど今頃が北京では一番寒い時期かもしれません。近所の公園を走る時も、日差しがあってもTシャツ1枚ではさすがに寒く、ウインドブレーカーを羽織るようになりました。街行く人の服装もすっかり冬服になっています。厚手のコート姿こそありませんが、毛糸のセーターなどは当たり前と言った感じです。国慶節の連休を利用して衣更えをした人も多かったことでしょう。さて、今日は新疆トルファンでの10月の様子を詠った岑参(しんじん)の「送人還京(人の京に還るを送る)」を紹介します。

 作者、岑参(しんじん・しんしん・しんさん)は盛唐の詩人。30歳で進士に及第しますが、当時の玄宗皇帝の西域方面への出兵策の影響でしょう、34歳の時に安西都護府(新疆ウイグル自治区トルファン)に赴任します。前回は、その安西都護府に向かう途中、反対に都「京」に向かう人に会った時の詩を紹介しました。今回は、安西都護府に着いたあと、都へ帰る人を見送った時の詩です。詩の始まりの言葉「匹馬」は一匹の馬のことです。単独で敵陣に切り込むという意味の「匹馬単槍」 という四文字熟語もあります。岑参の一人辺境の地に乗り込んでいった気持ちも表しているのかもしれません。都へ帰る人は、この安西都護府よりも更に西からここへきたようです。その地のことを「天外」、天の果てと表現しています。ここでいう「9月」は旧暦ですから、今の暦なら10月にあたり晩秋です。「交河の北」の「交河」は、トルファンの西にある川ですが、ここでは河そのものでなく川に囲まれた断崖の上にある交河故城のことで、まさに安西都護府のあった場所です。砂漠のこのあたりでは晩秋には雪が降るのでしょう。一日の寒暖の差だけでなく、1年の寒暖の差も大きいのです。「雪裏」の「裏」は、裏側ではなく内側、中という意味です。辺境の詩を得意とする岑参の作品を3作続けて紹介してきましたが、度々涙で衣を濡らしているなぁという印象です。実際涙を流していたかどうかはわかりませんが、今以上に辺境の地と都の生活ではあらゆる面で格差が大きかったということでしょう。

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