hanshi0810
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立秋を過ぎ、やっと北京に青空が戻って来ました。先週は、早めのお盆休みをいただいて日本に帰り、故郷でお墓参りをしたり、同窓会に参加したりしました。朝はいつもの北京の公園ではなく、実家近くの海岸線の松林の中を走ってみました。走り出すと蝉時雨の賑やかさに圧倒されましたが、少し時間が経つと却って蝉の声が涼し気に聞こえて来ました。北京での音のシャワーは車の音、人の声など人工的なもの。日本で耳にした夏の音は、この蝉の声や風鈴の音。自然が奏でる音には癒されるものがあります。でも、最近都会のマンションでは風鈴の音さえもうるさいと苦情の種になることもあるそうです。音に癒されるか、煩わしく感じるかは、音の種類や大きさではなく、聞く人の心の持ち方なのかなと、ふと思いました。さて、今日は銭起の「與趙莒茶宴(趙莒(きょ)の茶宴にて)」を紹介します。
作者、銭起は中唐の詩人。現在の浙江省の人。29歳で進士になります。唐の大暦年間に詩壇の中心を占めていた詩人グループである大暦十才子(たいれきのじゅっさいし)の一人で、自然の景色を詩にするのに長けていました。また、当時はお茶文化が貴族から庶民まで行き渡り、お酒の代わりにお茶での宴会、茶宴も開かれていました。タイトルの「趙莒(きょ)の茶宴にて」は、趙莒(きょ)と言う人を招いた茶宴のという意味です。冒頭に竹下、と言っていますから茶宴の場所が竹林の中だったことが解ります。紫茶は、当時皇帝への献上茶だったお茶の名前です。「言葉を忘れる」と言うよりも、「言葉は要らない」と言ったほうが、雰囲気が伝わるでしょうか。全勝は全ての美しい景色。「勝」は名勝旧跡の「勝」です。「羽客」は、羽のあるお客、これは空を飛べる仙人のことでしょう。蝉しぐれではなく、1本の樹の蝉ですから却って涼し気な感じです。茶宴をやっている竹林に斜めに一筋の影、つまり一筋の陽が差し込みます。私は、お茶で宴会を楽しんでいるうちに、夕日の西日が差し込んで来た。日も傾いて来たから、散会にしようということなんだと理解しました。暑い日、夕方まで竹林でお茶を楽しみ、涼しくなってから解散。風流な納涼会に思えて羨ましく感じました。
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