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「野人送朱桜(野人 朱桜を送る)」杜甫

2016-07-01 14:56:39     cri    


 今週は北京でも雷雨がありました。日本なら激しい雨が降って梅雨が明け、本格的な夏到来の時期ですね。この時期、北京の街角で売られる果物は何と言っても西瓜が主役ですが、以前に較べて種類が増えました。ハウス栽培や運搬手段が発達したからでしょう。私の好きなさくらんぼも5月の上旬から市場に姿を見せています。少し高いなぁと思いながらも喜んで買ってみると実が硬くて、甘みが足りないような・・・。それが、最近では値段も安くなり甘味、酸味のバランスがよくて、まさに旬の美味しさです。100g日本円で100円もしないので500gくらい買って、思いっきり食べていますが、ふと手を停めてその姿をみると何ともかわいらしくてそのままアクセサリーにしたいほどです。さて、今日はこのさくらんぼについての漢詩、杜甫の「野人送朱桜(野人 朱桜を送る)」を紹介します。

 作者、杜甫は盛唐の詩人。河南省の人。日本でもよく知られた詩人ですね。若い頃に科挙の試験に落第し、40歳を過ぎて仕官します。しかし、左遷されて宮仕えを辞め家族と共に甘粛、四川を放浪しました。48歳の時に四川の成都に草堂を建て、比較的穏やかな時間を過ごしたようです。近所の農民と交流し、桃や竹、松などの苗をもらって草堂のまわりに植えたり、川辺には自ら薬草園や菜園を作り耕しました。今日紹介した詩はその頃に作られたものです。タイトルの朱桜はさくらんぼのこと、野人は農民です。「細写」丁寧に少しずつ移す、「匀円」は、均一に丸いことです。今回紹介した前半は、成都で農民が籠いっぱいのさくらんぼを持ってきてくれた様子を描いています。 皮が破けないように大切に扱う様子。どの粒も真ん丸なことに驚く様子。当時もさくらんぼはキラキラと輝く宝石のような果物だったのでしょう。後半は、役人だったころのことを思い出し、あの時もこの果物をもらったが今は都から連絡もない、ヨモギの葉のように漂流の生活をしていると言っています。これは、役人の人生から離れ嘆いているようでもありますが、農民とも仲良くなって宝石のようなさくらんぼをいっぱいもらう・・・。さくらんぼ好きの私からするとこの時の生活の方がずっといいなぁと思いますが、いかがでしょうか。

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