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「村居、目に触るるを書す」陸游

2016-05-26 15:45:26     cri    


 北京は、ここ数日30度を越える日が続いています。気温だけ見るとすっかり夏です。太陽が降り注ぐ朝、意を決して外に出ると、意外と空気がひんやりしていてさわやかなことに驚きます。この時期、日本なら梅雨入り前ですから、もう湿度がかなり上がっていますが、北京は日本と違って湿度が20%ほど。やはり蒸し暑い夏ではなく、清清しい初夏の朝です。中国と日本が同じなのは、この時期が麦の収穫の時期、麦秋であることです。5月の風に揺れる穂は、金の波のようです。今日は、この時期の様子を詩に詠った陸游の「村居、目に触るるを書す」を紹介します。

 作者、陸游は南宋の詩人。現在の浙江省紹興の人。範成大、楊万里とともに南宋の三大詩人と言われました。何回か紹介したことがあります。役人としては不遇な人生だったようですが、当時としては85歳と言う非常に長生きでした。たくさんの詩を残していて、世の中を糾弾するようなものと、自然の様子を自由に書き綴ったものの2つに大別されます。私は、目の前の情景を切り取ったような、今回のような詩が好きです。タイトルの、「村居、目に触るるを書す」は、村に居て目に触れるものを書くですから、気軽に作ったというか日記のようなものだったのかもしれません。

 「鶯吭滑らかなり」は、鶯の喉が滑らかだと言うこと。花はないけど、蝶が舞い、桑の実が美味しく、耳には鶯の囀りが聞こえる。年とって故郷で農民として日々の暮らしを五感で楽しむ。味気ない役人生活よりもずっといいと思います。

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