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「偶題」于謙

2016-05-18 14:18:28     cri    


 晴れ渡る空に太陽が輝き始め、覚悟して外に出てみると意外とさわやかで過し易かったりする時期です。空気が乾いていて、日本にいた時に感じていた初夏の空気とは、だいぶ違うような気がします。北京の街は、今が一番いい季節かもしれません。早起きして公園に行き、走り出すとどこからともなくいい香りがしてきます。春の花の甘い香りではなく、もう少し大人っぽい香りです。辺りを見回すと白いライラックが咲いています。なんだか1年ぶりに懐かしい友達に会ったような感じがしました。北京の公園の花は夏に向けて、少しずつラインナップを変えて行きますが、香りを楽しむ花はこのライラックで一区切りです。そう考えると、ライラックの香り溢れる公園を走り抜けるのはもったいないような気がして、少しでも長い時間、ここにいたいなぁと思います。いつもより時間をかけて、公園内を散策すると次の主役、蓮の花に蕾がついているのを発見。夏の準備が、着々と進んでいるようです。さて、今日は今頃の様子を歌った于謙の「偶題」を紹介します。

 作者、于謙は明の政治家。現在の浙江省杭州の人。明の英宗皇帝がモンゴルのオイラートと戦い敗北し河北省の土木堡で捕虜になった土木の変で、北京を死守するなどモンゴルの侵攻を防いだことから歴史に名を残しています。タイトルの「偶題」は、たまたま即興で作った詩と言う意味です。日本の俳句の季語にもなっている「風薫る」。初夏、今頃の若葉の香りが漂うようなさわやかな風を薫風といいますが、この言葉を見ただけで、新緑の景色とからっとしたさわやかな風が目の前を吹き抜けていく情景がありありと目に浮かびます。木の枝に停まって囀っている鳥は、茂った木陰を愛している。この時期、もう日差しも強いので、鳥でなくても木陰を選んで歩いてしまいます。本来なら飛んできて、また、飛び去っていくのでしょうが、鳥はよほど葉の茂った木陰が気に入ったのでしょう。飛び去ろうとしないようです。風が肌を吹きぬけ、鳥の声が耳に聞こえ、目の前にはキラキラした太陽と生い茂った新緑の木々。五感で、今頃の季節を感じさせてくれる詩です。

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