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「初夏」司馬光

2016-05-12 14:05:23     cri    


 北京の街角では、あちこちでバラの花が咲き始めました。バラは菊の花と共に北京市の市の花でもあります。そのせいか、この時期盛りを迎えている牡丹や芍薬と違って花壇よりもむしろ歩道や車道の中央分離帯などより人の目に付きやすいところに多く植えられているような気がします。日本人の私にとってバラの花と言うと高嶺の花や温室育ちのイメージですが、北京では車の排気ガスを浴びながらもその美しさで和ませてくれる苦労人、強い花のイメージです。もしかすると、日本では美しさとは、はかなさで、中国では美しさとは強さなのかなとバラの花を見て一人深読みしてしまいます。1つ、間違いなく言えるのは日本にいた時よりも北京に来てからの方がバラの花が好きになったということです。さて、今日はバラ香る今頃の様子を詠った司馬光の「初夏」を紹介します。

 作者、司馬光は北宋の詩人。政治家、歴史家としても有名です。現在の山西省の人。王安石や蘇軾の師でもありますが、王安石の新法には反対して、野に下り洛陽で15年間隠居しました。この時に歴史書を著しました。今日の詩もこの隠居中の洛陽で書かれたようです。中国の旧暦では、4月、5月、6月が夏です。今の暦なら5月、6月、7月に当たります。タイトルの初夏は旧暦4月、今なら5月のことです。清和は清清しくさわやかなこと。「戸に当たって」は、家の戸口からの意味です。3句目は、北京に暮らすと非常に共感できます。春の間、激しく柳絮が飛ぶのですが、これが収まると季節が夏になったなぁと感じます。この白くふわふわした柳絮に対して、すっと真っ直ぐ伸びるタチアオイの花が登場して、この詩が終わります。初夏と言うタイトルで、いきなり4月、から始まり日本人には、あれ?と思ってしまうかもしれませんが、それ以外は初夏の瑞々しい情景がクッキリと目に浮かぶわかりやすい詩です。

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