0330hanshi
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「三日見ぬ間の桜かな」と日本では言いますが、北京の私たち放送局の敷地内にある長野からいただいた桜も今週に入って咲いたかと思ったら、あっという間に満開になりました。この1週間ほどで、春が駆け足でやって来たようです。青空に向かって白モクレンも花弁を綻ばせています。ピンクの花は桜だけでなく、花桃なども咲き始めました。いつもの場所にいつもの花が咲くと、思わず「お帰りなさい!」と声をかけたくなります。今週末は清明節の三連休で、お墓参りの時期でもあります。放送局近くの地下鉄の駅「八宝山」、大きな霊園の最寄り駅とあって、なんだか賑やかになってきました。もっとも、最近はこの清明節にお墓参りに行かず、旅行などのレジャーを楽しむ人も多いようです。暖かくなって池や川の氷だけでなく、お財布の紐も緩むのでしょうか。春、おしゃれして出かけたくなる季節です。
作者、王安石は北宋の政治家。文学者。撫州臨川(現・江西省臨川)の人。宰相になり制度改革を強行しましたが、保守派の反対に遭い、失脚して引退します。散文に優れ、唐宋八大家の一人でもあります。詩のタイトルの「夜直」は宿直のことで、王安石が学士院で宿直をした時の詩です。金炉は宿直室にある金でできた香炉のことで、漏声は水時計の水がしたたる音です。この1句目はずいぶん時間が過ぎたことを言っています。2句目は状況です。翦翦は軽風、つまりそよ風がさっと吹く様子を形容した言葉で、陣陣は寒さが切れ切れに続くこと言っています。寒さ、と言ってもここでは冬の寒さではなく、春の肌寒さでしょう。春色は、春の気配。夜、寝ようと思うと冬と違っていつの間にか暖かくなっていて、「ああ春だなぁ。明日早起きしてみようか」などと、ちょっとそわそわして眠れない感じですね。そして、外を見てみるとさっきまでは地面にあった花の影が、月の位置が動いたことで欄干のあたりにまで上っている。情景描写も心理描写もみごとで、一枚の絵が浮かび、春の雰囲気を存分に伝えてくれます。前回紹介した蘇軾の「春夜」と並んで、春の夜を詠った名詩です。
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