会員登録

「春夜」蘇軾

2016-03-24 10:57:47     cri    


 北京もだいぶ春めいてきました。気温が20度近くまで上がる日があったりするとあっという間に春の花が開きます。北京の春の花と言えば、迎春花。名前の通りまさに春を迎えるように真っ先に黄色い小さな花を咲かせます。とほぼ同時に今年は黄色い連翹の花も見ごろを迎えています。初めは迎春花と連翹の区別がよくつきませんでしたが、最近では見分け方のコツを体得しました。枝垂れて咲くのが迎春花、空に向って背伸びするように咲くのが連翹と思えば、ほぼ間違いありません。この花に続いて白もくれんが咲き始めます。モノトーンだった北京の街が少しずつ色づき始め春の訪れを感じます。また、今日は満月。昨夜空を見上げたら月がきれいに見えました。でも、冬のピンと張り詰めた空気の空に銀色に輝く月とは違いました。少しぼんやりと黄色味を帯びているようにも見えました。春は、山に里に夜空にと訪れているようです。では、今日は蘇軾の「春夜」を紹介します。

 作者、蘇軾は北宋の詩人。優れた詩をたくさん残していて、以前も紹介しました。眉州、現在の四川省の人で、号は東坡といい蘇東坡の名前でもよく知られています。日本では、春は曙、明け方ですが、彼が詩にしたのは、春の夜です。先ず、春の宵は一刻が、千金に値すると言っています。目の前の景色や時間をお金に換算しているところが、中国らしいなぁと感じます。でも、この出だしだからこそ読む人の心をぐっと掴むのかもしれません。一刻は陰暦で用いられた時間の単位で、水時計の刻み目の刻むと言う字に由来しています。わずか、ほんの少しの時間のことです。2句目で春の宵を花、月と具体的に紹介しています。歌管は、歌声や楽器の音。声細細の細細はかすかな音がすると言う意味で、春の宴が今しがた終わった様子を表しています。この3句目と対になる4句目の鞦韆はブランコのことです。今の日本のブランコとは少し違って、高さ30mくらいの横の支えから紫か緑色の綱をつるしたもので、4月上旬の清明節の頃に乙女や官女がこれで遊んだり競ったりしたようです。院落は中庭。沈沈は夜が静かにふけていく様子を描写しています。後半の2句は名詞を並べただけですがかえって解りやすく、情景が浮かびやすくなっていませんか。

関連ニュース
写真トピックス
コメント
今週の番組
今日熱点
快楽学唱中文歌
特集ダイジェスト
LINKS