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「雪梅」方岳

2016-03-09 16:40:51     cri    


 中国の3月は、新学期が始まったばかりで生き生きフレッシュな季節です。でも、このところ親しくしていた人たちが北京を離れ日本に帰任するという知らせが多く、日本では3月はお別れの時期、旅立ちの時期だったなぁとちょっと寂しくなっています。日本では、水仙、梅、桜と春の花便りが各地から届く頃でしょうか。北京では、まだ木々に蕾が芽吹いたばかりで、ほころんでいる花は見当たりません。それでも、今年はいつもの年よりも暖かくなるのが早い様な気がしています。今週になってから、近くの公園でのランニングを再開しました。厚い氷が張っていてた池も、風が吹くと漣がたって春を感じさせてくれます。でも、走れば走るほど手の指先が冷たくなってきて、本格的な春までは後一歩の感もあります。三寒四温、暖かくなったり、冷え込んだり、進んだり戻ったりしながら季節は変わっていくのでしょう。さて、今日紹介する漢詩は、雪と梅、タイトルは雪梅です。3月に雪?と思いますが、北京でも何年か前に3月下旬になごり雪が降りました。白い梅と白い雪の取り合わせは、意外と絵になるのかもしれません。では、方岳の「雪梅」を紹介します。

 作者、方岳は南宋の人。祁門、現在の安徽省の農民出身。33歳で進士に及第し、江西省の都市で地方長官も務めました。農村の風景を詠った詩の他、優れた作品を残しています。タイトルの「雪梅」と聞いて、冬を思いますか?それとも春を感じますか?日本の俳句では「雪」は冬の、「梅」は春の季語です。この詩を読んでいくと主役は雪ではなく、梅ですから春の詩だということで今回選んでみました。比較的解りやすいしだと思います。精神は、日本語の意味とは違ってここでは、魂がこもっている、生き生きしていると言う意味です。俗了は、俗っぽくなる、風流でないと言うような意味です。今まで、唐の時代の詩人を紹介したことが多かったのですが、今回の作品は、南宋の時代のもの。確かに、違います。少し理屈っぽいような気がしませんか。梅、雪、詩、春と言った情景が眼に浮かぶ「詩」らしい言葉がちりばめられているのは、唐の時代の作品と同じですが、精神、俗了というあまり詩的でない単語もあります。それでも、全体的にすっと情景の浮かぶ美しい詩に仕上がっているところは、さすが方岳です。実際に夕方雪が降ってきたかどうかは、解りませんが春の雪が梅の枝に舞い落ちて花のように見える。満開の梅がなお満開になっていくような感じでしょうか。

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