日本では寒波が猛威を振るっているようですが、こちら北京も厳しい寒さが続いています。立春まであと1週間ほど、もう一頑張りです。そして、中国最大の祝日ともいえる春節まで10日ほどになりました。旧暦では、今が年末で年越しの準備が本格化しています。1月に入っても街中のお正月の雰囲気は薄かったのですが、今週に入って大通りの電柱には赤い提灯の飾りが下げられるようになりました。私の住まいのロビーでも赤い提灯の飾りつけをしているところにちょうど通りかかりました。いつものパン屋さんでは、干支のサルの顔の形をした菓子パンを売るようになりました。街角のショウウインドウにもサルのぬいぐるみが登場するようになりました。いよいよ新年といった感じで、寒いけれども元気が沸いてくるようです。日本でも寒稽古、寒作り、寒椿などなど「寒」のつく言葉がたくさんありますが、今日は楊万里の「寒雀」を紹介します。
作者、楊万里は南宋の詩人。江西省吉安市の人。真っ直ぐな性格で妥協をしなかったので、中央では出世できず地方官の職を務め、国士監博士などを歴任しました。晩年は、ふるさとでひっそりと暮らし83歳でこの世を去りました。4200余首というたくさんの詩を残し、同じ時代の陸遊、範成大とともに南宋の三大詩人と言われています。
タイトルの「寒雀」は、もちろん中国語ですが、同じ言葉が日本では冬の季語になっています。寒中の雀は丸々と太っていて、かわいらしく元気そうにも見えます。また、脂が乗っていて以前は最上級の焼き鳥の肉になっていたようです。「百千」とは、実際の数ではなくたくさんの雀という意味です。草木も枯れて冬の何もない殺風景な庭にたくさんの丸っこい雀がいる様子はほほえましいですね。「晩晴に話す」の晩晴は、夕方の晴れ間。話すは、雀ですからおしゃべりすると言った方がぴったりです。「特地」は、わざわざ、「団」は群れ。「喧殺」は、うるさくて殺されそうと言うことで、雀のおしゃべりも数が多ければ、可愛いどころかうるさいのでしょう。そこに、突然何か雀たちを驚かせるものがあって、一斉に飛び去っていく。よくある光景で、容易く想像できますよね。さっきまでうるさいと思っていた雀のおしゃべりもなくなってしまうとちょっと寂しいのでしょうか。情景描写の漢詩ですが、最後の一言に作者の気持ちが込められているように感じます。
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