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「董大に別る」高適

2016-01-20 16:23:48     cri    

 大寒を明日に控え、北京も今が一番寒い時です。先週の日曜日は、マラソンクラブで今年最初の練習会がありました。だいぶ着込んでいたのですが、手の指先、足の爪先は、走っても全く温まりません。何よりも頬に当たる風が冷たくて顔が凍るようで、初練習と言うよりは、寒稽古と言った感じでした。前の晩に降った雪がコースの脇に残っていましたが、太陽が当たっても溶けだして足元がビショビショしないのが北京のいいところです。日本に較べて北京はとても乾燥していますし、何といってもこの時の気温が氷点下12度でしたから溶けることはない訳です。氷点下なのにランニング・・・とさすがの私も少し躊躇しましたが、日本なら望んでもかなわない状況、北京ならではと走りだしました。紹介したように寒さは厳しかったのですが、その分走り終わった後の充実感は大きなものでした。そして、今年も「北京ならでは」を存分に楽しもうと思いました。

 作者、高適は盛唐の詩人。山東省浜県の人。若い頃は学問を好まず、任侠放浪の生活を送り辺境を回りました。李白、杜甫と知り合い、50歳から詩を作りはじめ最後は、中央の高官に至ったというユニークな経歴の持ち主です。豪放ですが節義も重んじる性格を反映して、気骨あり重厚な作風で知られます。

 詩のタイトルにある董大とは、董庭蘭(とうていらん)という 当時の琴の名手です。作者が四川省彭州(ほうしゅう)で長官をしていた時、董大が全国各地で演奏会を開き彭州へ来て、また去って行くときの送別の詩です。出だしの千里は十里としている書物もありますが、中国のスケール感から言えば、千里の方がふさわしいのではないでしょうか。黄雲と聞くと、黄砂の舞い上がる様子が浮かびます。雁に取って北風は向かい風、雪も次から次へと襲ってきます。紛紛は、ここでは次から次へとという意味です。ここまで、厳しい自然状況を詠っていますが、後半は作者の優しさが溢れます。前路、これから行くところに知己、親しい人がいないと心配しないで。あなたは琴の名手で、あなたのことを知らない人は誰なのか、つまり知らない人はいないのだからと励ましています。前半の描写が厳しいものだけに後半の句の温かさが活きてきます。作者高適の性格をよく表しているように感じました。

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