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「納涼」秦観

2015-08-27 14:12:08     cri    

 8月も残りわずか、来週はもう、9月です。日本にいた時は、夏の高校野球の優勝校が決まると、夏も終わりだなぁと感じていました。今、北京で夏の終わりを感じるのは、空の色と吹く風です。先週あたりから、気持ちのいい青空が広がっている北京ですが、その青い色は間違いなく秋の色です。朝早く公園に走りに行く時、夜遅く会社を出る時、すーっとほほをなでる風、空気の冷たさに驚きます。「秋来ぬと目にはさやかに見えねども、風の音にぞおどろかれぬる」という古今和歌集の句を思い出し、確かに秋の訪れは風、空気が教えてくれるんだなぁと感心しています。カレンダーを見れば先週の日曜日が二十四節気の「処暑」でした。処暑の処は、とどまる、止まるという意味ですから暑さが止まるころになった訳です。あれほど、暑い、暑いと文句を言っていましたが、その夏も過ぎて行ったかとおもうとちょっと寂しくもあります。皆さんは、素敵な夏の思い出、できましたか?私は、いつになく仕事が忙しい夏でしたが、先日の10キロランニング大会で自己ベストを更新できたことが、いい夏の思い出になっています。夏の終わりに今日は、秦観の「納涼」を紹介します。

 作者、秦観は北宋の詩人。江蘇省の人。蘇東玻の有名な4人の門下生の1人です。

 暦の上で処暑も過ぎ、北京では朝晩などだいぶひんやりしてきましたが、広い中国まだ残暑の厳しいところも多いようです。熱帯夜という言葉に縁のない北京ですが、南の方はそういう訳にはいきません。エアコンなどの無かった昔は、夜涼みに散策にでかけたのでしょう。柳外、柳の並木の向こう側。画橋は欄干に意匠を凝らした彫刻のある橋の事。胡牀は横になることができるくらいの長い椅子のようなもの。そこにもたれて休んでいると、目には月明かりが映り、耳には船の汽笛が聞こえ、鼻には蓮の花の香りが漂ってくる。風が止んでも、涼やかな雰囲気が漂います。まさに五感で涼を求める感じです。この詩を聞いて目に浮かぶのは、蒸し暑い夏の夜ではなく、美しい夏の夜です。

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