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聞き手:王小燕
シリーズインタビューの10回目。TBSの長寿番組「世界遺産」の企画段階からかかわり、プロデューサーであり、ディレクターも務めた大野清司さんにお話を伺います。
1996年、中国の「世界遺産」紹介の第一歩を黄山から踏み出した大野さん。撮影終了後、その足で向かったのは山東省曲阜でした。孔子ゆかりのこの町にある「孔府、孔廟、孔林」が、その2年前の1994年に新たに世界文化遺産のリストに加わりました。
季節は秋。東京からのクルーはディレクター、カメラマン、ビデオエンジニア(カメラ助手兼)、照明という4人構成。特機はカメラを安定させるステディカムのみ。固定電話が中国の家庭に普及したばかりで、日本との連絡は主としてファックスを介していました。
ちなみに、 「孔府、孔廟、孔林」は略して「三孔」とも言います。それぞれ、孔子の直系子孫とその家族の邸宅(孔府)、孔子を祀る廟(孔廟)、孔子とその一族の墓地(孔林)を指します。
(左上)孔林 (右上)孔府 (下)孔廟
(写真提供:曲阜三孔旅遊網)
曲阜を初めて訪れた大野さんの目には、「三孔」があるこの町は、「孔子のテーマパーク」でした。
「歴史ほど映像で再現しにくいものはない。事前にはっきり言って自信がなかった」という不安を抱きながら、現地に降り立ちました。ところが予想だにしなかった発見で興奮しました。
「『お名前は』と聞きますと、『僕、孔です』、『私は孔です』…もう孔さんだらけ!」
事前の準備ではわからなかった驚きと感動から湧き上がった曲阜の新しいイメージ。
「これこそ、孔子の存在証明ではないか」、とカメラでひたすら、追いかけてみました。
「国教となった儒学。中国の王朝は次から次へと変りますが、儒学の影響力だけは変わらないもの。歴代の支配者が政権の座についてから、必ずここにお参りに来る。幕府時代の日本の歴史を彷彿させました…」
今回も「さあ、困りました」からスタートしましたが、結果的に多くの感動と収穫を持ち帰った旅でした。
詳しくはどうぞ番組をお聞きください。
【プロフィール】
大野清司(おおの きよし)さん
1949年、東京都生まれ。
東京大学卒業後、1974年に株式会社TBS映画社(現社名:TBS VISION)に入社。主にドキュメンターリ番組のディレクター、プロデューサーとして番組制作に係わる。特に、1979年からは海外取材番組を担当し、世界60ヵ国を取材。
[主な担当作品]
・『美をもとめて』シリーズ、『世界の子供たち』シリーズ
・『世界めぐり愛』シリーズ、『世界遺産』シリーズ
・『遥かなるアンコールワット』、映画『敦煌』公式記録VTR
・中日共同制作『万里の長城』(日本TBS&中国CCTV)
・TBS開局40周年記念番組『日本海大紀行』
・『緒形拳:シルクロード列車の旅』
その他、多数
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