1
|
北京が段々と春めいてきた頃に、元気印のお客さまをスタジオにお迎えしました。
日本で「可愛すぎる中国語講師」として知られる、「段段春風」こと段文凝さんです。一年ぶりの帰省のようですが、実家の天津ではわずか1泊しかできませんでした。しかし、両親と一緒に餃子を作ったり、大学時代の同窓会に参加したりと充実した時間を過ごしたようです。
大学を卒業後、地元テレビでキャスターをしていた段さんは、「生まれ育った町を飛び出して、もっと広い世界で自分を試してみたい」。そんな思いに駆られて、2009年に仕事をやめて日本留学を敢行。
しかし、日本語を学んだことがないだけあって、苦労も人一倍でした。また、実家では、「洗濯機さえ触ったことがなかった」箱入り娘でしたが、日本では生活のため、飲食店でアルバイトをしなければなりませんでした。そのバイトも言葉が分からないため、メニューが分かる中華料理店に限定。しかし、どんなにくじけそうになった時でも、両親には「大丈夫だよ。元気だよ」としか口にしませんでした。なぜなら、「自ら選んだ道だから」。
2009年、偶然NHKの中国語講座の求人を知り、オーディションに合格。怖いもの知らずでしたが、スタジオ出演を始めたばかりの頃、渡された分厚台本に羅列されていた難解な言葉に「本当は泣きそうになった」と振り返ります。
時が経つのは早いもの。日本に渡って早7年。今の段さんは「可愛すぎる中国語講師」として多くのファンをひきつけ、タレントとしても大活躍。この間、中日を取り巻く環境に大きな変化もありました。それは、訪日中国人の急増です。
「とても嬉しい変化ですが、互いの理解が不足していることから、お互いが不愉快に思うことも起きています。傍で見ていて忸怩たる思いをしています。そのような文化や習慣の違いを何とか、分かりやすく伝えられないかと思って、この本を出しました」
微笑みながら、渡してくれたのは新刊の『マンガで分かる リアル中国人』(主婦と生活社、マンガ:ますみかん)。日本で出した4冊目の著書となります。
一方、中国の日本関連発信が増える中、日本に実際に行って取材する企画も増えています。昨秋、大手動画投稿サイト「優酷」の独自企画によるシリーズ映像番組「我是誰」が、日本でロケを行いました。計2回の2時間長編番組でした。レギュラーは中国のスーパーアイドル「華晨宇」。この番組のゲスト出演者の1人に段さんがいました。若者向けの分かりやすい企画ではありますが、311の被災地を訪れ、福島第一原発付近の様子もカメラで撮影し、社会の深層問題についても目をそむけずに向き合っていました。
この番組の中で多くの視聴者に深い印象を植え付けたシーンの1つは、段さんが独り言のようにつぶやいたナレーションでした。
「かわいい、きれいだと良く言われていますが、人の見えないところで、どれだけ努力をしてきたのか。決して、かわいいという言葉だけで済ませられないものがたくさんある」
なんとも芯の強いタフさがにじみ出ている言葉です。
そして、スタジオでは満面の笑みを浮かべながら、元気はつらつの声でこう話してくれました。
「私のことをかわいいとほめてくれるのは、もちろんとっても嬉しい。しかし、それよりも嬉しいことは、そう言ってくれた方が、中国のことをもっと知りたくなり、中国の文化を好きになってくれることです。このような中国と日本を結ぶ架け橋のような人間、私はこれからもそうあり続けたい」
このほか、昨年のNHK Eテレ「テレビで中国語」でMCの壇蜜さんとコラボした時の感想など、この番組でしか聞けない話が満載です。
【プロフィール】
段文凝(だん ぶんぎょう)さん
早稲田大学国際部中国語コーディネーター。タレントとしても活躍。
5月4日生まれ。中国・天津出身。天津師範大学卒業後、天津テレビ局に所属し、司会やナレーションなどで多数の番組に出演。
2011年4月より、NHK Eテレ「テレビで中国語」にレギュラー出演中。
2014年、早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース卒業。
日本と中国を行き来し、多方面で活躍し、幅広い層に人気を得ている。
主な著書:
『段ちゃんと!はじめての中国語』(日本文芸社、2013年)
『日本が好き!』 (PHP研究所、2012年)
『「菜根譚」が教えてくれた 一度きりの人生をまっとうするコツ100』(マガジンハウス、2015年)
『マンガで分かる リアル中国人』(主婦と生活社、マンガ:ますみかん、2015年)
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |