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北京から全国へ・「愛門墩会」で調査を続けたい――岩本公夫さんに聞く(下)

2016-03-22 20:09:48     cri    

 「門墩(モンドン)」の調査、研究に取り組んでいる岩本公夫さんのお話の2回目です。

 先週も紹介しましたが、「門墩(モンドン)」とは、中国の伝統的家屋、特に四合院の表門の脇に置かれ門扉を支える、石の支柱です。伝統的な吉祥模様が彫られ、四合院の住人の地位や、好み、願望をも表しています。

 ところで、この石柱の形には四角いもの、丸いものと様々ですが、主人の身分を形で表しているという仮説がありました。

 「丸は武官、四角いは文官」というものです。

 岩本さんが以前、北京でフィールド調査をしていた時に立てた仮説です。

 「ところが、気づいたら、それがいつかガイドさんの間では通説になっていました」

 岩本さんがそう言いながら、頭を掻いて困った顔を見せました。と言うのは、北京での調査が終わり、調査エリアを中国全土に広げてみると、「どうも違うということを薄々と感じるようになった」からです。

 間違った仮説の訂正と、本帰国後も、短期滞在の形で続けてきた中国全域での調査成果を後世に伝えたく、岩本さんは活動を続けました。これまでの20年、北京にいても、大阪にいても、門墩(モンドン)中心の生活を続けてきました。そして、その集大成としての新著『中国門墩』が現在、出版準備が進んでいるということです。

 一方、年齢や体力のことを考えて、岩本さんは「愛門墩会」の設立を準備しています。「現在、中国各地では門墩が日ごとに消えつつある。現存の門墩の図案を写真に撮っておき、その状態を記録しておくことが当面の急務だ」という思いから、中国各地方出身の大学生などを対象に、冬休みや夏休みの帰省中にふるさとの門墩を撮影して、メールで送ってほしいという呼びかけもしているということです。

 現場調査での出来事や、今後の調査計画、協力の呼びかけなどを伺いました。今回も引き続き岩本さんの物語をお聞きください。

 なお、「愛門墩会」についてのお問い合わせはiwamoto.kimio@coral.plala.or.jpまで。

 【プロフィール】
岩本公夫(いわもと・きみお)さん

1937年  広島県福山市の古琴職人の長男として生まれる
1960年  山口大学経済学部卒業後、マツダ株式会社の大阪販売会社に入社。
1994年  定年まで残り3年。会社を辞めて、妻と中国留学を決意。
1995-98年 北京語言大学や陝西師範大学に留学
1998年   独自の調査に基づく報告書『北京門墩』を北京語言文化大学出版社から出版
2008年    71歳でパソコンの使い方を学び始める
現在はその後20年にわたって中国各地で行ってきた調査を土台にした『中国門墩』の出版を準備中

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