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ハンセン病回復者村でボランティア・前田瑞紀さん(早稲田大学3年)

2015-07-28 18:10:36     cri    

 今回は夏のスペシャル企画・「夏休みの過ごし方」。7月17日までCRIで2週間のインターンをしていた前田瑞紀さん(早稲田大学国際教養学部3年)の話をお届けします。
 中国での交換留学を終え、まもなく帰国する前田さんはこの夏休み、約1ヶ月間を中国でのボランティア活動に費やす予定です。
 早大入学と共に入った学生NGO「QIAO-橋」。この一員として、中国のハンセン病回復者村でボランティア活動をして3年になります。
 前田さんは、これまで中国では湖南省吉首市の山村「沙渡渓村」をワークキャンプの拠点としてきました。大勢の中国人学生と一緒に、この村での住み込み、活動していました。一体どのような活動をしていたのでしょうか。
 どのような思いで「QIAO―橋」に入ったのか。村人との触れ合いで心に残ったことは?そして、中日両国の若者が支えているハンセン病回復者村のボランティア現場では、今何が起き、どんな課題を抱えているのか?
 前田さんのお話をぜひお聞きください。  

 【プロフィール】
 前田瑞紀(まえだ・みずき)さん
 早稲田大学 国際教養学部 3年
 2014年9月より1年間北京大学に留学

 富山県高岡市出身。
 中国人を母親に持ち、幼いころより中国に親しみを感じ、よく訪れていた。
 大学ではハンセン病問題支援学生NGO QIAO-橋-に所属し、年に2回、ワークキャンプという形で中国のハンセン病回復者村を訪問している。

 <前田さんからの活動紹介>

 皆さんこんにちは。このたびは、お話を聞いてくださり、ありがとうございます。
 今回は、ハンセン病支援に携わる者の一員として、改めて、ハンセン病問題支援活動というものは、どのようなものなのか、紹介させていただきます。
 少しでも多くの方に知っていただけたらと思っています。
 どうぞよろしくお願いいたします。

 ■ハンセン病問題支援学生NGO「QIAO -橋-」とは?
 ハンセン病問題支援学生NGO「QIAO -橋-」は「人と人との架け橋~あなたがそこにいるから~」という理念のもと2006年4月に誕生した、WAVOC(早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター)公認のハンセン病問題支援学生NGO団体です。
 QIAOとは中国語で「橋」を意味し、理念のとおり、国籍も、言語も、年齢も関係なく、国境を越えて人と向き合い、ハンセン病という、人と人とのつながりを奪う問題だからこそ、「人と人とをつなぐ架け橋」になろう。という思いが込められています。

 ■ハンセン病の基礎知識
 ハンセン病はらい菌という細菌によって起こる感染症であり、ハンセン病を引き起こす「らい菌」の毒性はきわめて弱く、正常な免疫反応のある今日の日本人が、ハンセン病を発症する可能性は医学的にも考えられません。万が一ハンセン病を発症したとしても、風邪をひいた際と同様、病院で治療すれば、半年から1年の通院治療で完治し、後遺症が残ることもありません。しかしハンセン病は、その症状が外見に見て取れることから、「遺病」・「業病」と誤解されつづけ、患者は隔離を強いられ、社会から疎外された状態で生涯を過ごすことを余儀なくされました。
 現代において、ハンセン病はもはや完治する病気であり、ハンセン病回復者や治療中の患者からさえも感染する可能性はありません。にもかかわらず、社会の無知、誤解、無関心、または根拠のない恐れから、何千万人もの回復者およびその家族までもが、ハンセン病に対する偏見・壮絶な差別に苦しめられてきました。病気が完治してもなお、偏見と差別は根強く残っており、ハンセン病が本当に侵すのは神経でも身体でもなく、人として生きる権利だといいます。
 こうした差別問題が今も続く中、ハンセン病は隔離されてきた歴史もあり、現代の人々の生活からはあまりにも遠く、その現状を知る人は非常に少なく、過去の病気として忘れ去られようとしています。

 ■QIAOの中国での活動:現状と課題
 私たちQIAOは国内外を共に活動の場とし、国内ではハンセン病療養所訪問、写真展などを行い、国外では主に中国を拠点とし、年に2回、春と夏の長期休みに、現地学生と共にハンセン病快復者村に泊まり込み、インフラ整備(道路の補修や貯水タンクの建設など)や近隣の町へのハンセン病の啓発活動、村人との交流などといった、ワークキャンプ(住み込み型ボランティア)を行っています。
 参加する学生は、それぞれがそれぞれの切り口・考え方で多様な活動をしていますが、 その原点にあるのは中国ハンセン病快復者村、そこに住む村人です。村へ行き、村人と話をする。そうすると、その人柄の温かさ、笑顔に惹かれ、また村へ帰りたくなる。社会、家族からも隔絶されてきた村人だからこそ、その言葉の1つ1つに重みがあり、家族の大切さ、当然のように人として生きている幸せ、そういった当たり前のことに気づかされるのです。
 しかし、ハンセン病の回復者が高齢化する今、現在、約600ある中国のハンセン病回復者村にいる人々は、平均年齢70歳を超え、あと30年もすれば彼らの生の声を聞くことはできなくなってしまいます。このままでは、多くの人々がハンセン病を知らずに、ただ病気で隔離された人々がいたという歴史だけが残り、それもいずれ忘れ去られてしまいます。誰よりも人と触れ合う大切さを知り、多くの学生の人生・世界観を変えた回復者一人一人の人として生きた証を人々の記憶に残したい。今私たちにできることは、回復者の生の声を聞き、一人でも多くの人に伝え、同じ歴史を繰り返さないことです。

【写真で見るQIAOの沙渡渓村でのボランティア活動】 写真提供:QIAO -橋-

 
村へ入る道


この道を通って村に入る

 
村人が住む長屋

 
2013 夏キャンプ 集合写真


2013 夏キャンプでの道、階段づくり


冬キャンプ

  ハンセン病は決して過去の病気ではなく、今もなおハンセン病と向き合い、偏見・差別と戦っている人々がいます。QIAOでは、多くの学生にワークキャンプ参加を呼びかけ、一人でも多くの人にハンセン病の今を知ってもらえるよう日々活動しています。国籍、大学、中国渡航経験、語学力の有無などに関係なく、どなたでも大歓迎です!活動内容はYahoo検索で[QIAO早稲田]と検索していただければFacebook,Twitter等でご覧いただけます。団体・活動に関する質問やご意見などもお気軽にお寄せいただければ幸いです。
 また、ハンセン病との関わり方は人それぞれ。番組中でも紹介しましたが、原田燎太郎さんが代表を務める民間非営利団体『家-JIA-』では、社会人がハンセン病回復者村を訪問するチャリティーイベントや、自由な額を寄付できるサポーター、月ごとに定期的に寄付のできるマンスリーサポーターなど、さまざまな形でハンセン病問題支援に携わることができます。こちらの情報もYahoo検索で[JIA ハンセン病]と入力していただければホームページからさまざまな活動情報をご覧になることができます。

 ■QIAOからの一言
 「人とのつながりが問題になったハンセン病問題だからこそ、 何よりもつながりを大切にしなければならない。」 この原点を見据え、人を大切にするという想いで繋がっている限り、何年後、何十年後も私たちの活動は、人と人とをつなぐ架け橋になると確信しています。 大切なあなたがそこにいるから。 村人も、家族も、友人も、自分も、そこにいるのはみんな等しく「人」です。
 皆様の活動への参加を心よりお待ちしております!

 ■関連活動&リンク先
 <QIAO  facebook> https://www.facebook.com/qiao.workcamp
 <NPO JIA ホームページ> http://jiaworkcamp.org/jp/workcamp.aspx
 <日本財団 ワークキャンプについて> http://www.nippon-foundation.or.jp/what/spotlight/leprosy/story2/

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